平成30年2月定例会(2018.3.9)

議案質疑

 歳出第11款教育費第1項教育総務費のうち特別支援教育推進計画策定費について、また関連して第7款産業労働費第3項労政費のうち障害者雇用促進対策費について伺います。
 「立派な人間になれ その上で 職業的能力を身につけよ」
 「自立 努力は自信をうみ 感謝は和をもたらし 誠実はともに生きる道をひらく」
 これらは本県にある県立名古屋盲学校そして岡崎盲学校の校訓です。盲学校は視覚障害に基づく学習上または生活上の困難を克服し、自立を促すという大きな目標の下、様々な教育が施されています。そこで、雇用につなげる盲学校の教育そして行政の支援について伺います。
 現在、民間企業における視覚障害者の就労は全国で約17,000人と言われており、厚生労働省の統計ではあんま・マッサージ師の就労が多く、全体の4分の1を占めています。
 あんま・マッサージ、はり、きゅう、いわゆる「あはき」業は視覚障害者にとって伝統的な仕事で、盲学校等での教育は明治期から行われています。盲学校または厚生労働省管轄の養成施設で3年または5年の教育を受けた後、国家試験の受験資格が得られます。
 しかし、こうした教育を受け試験を合格し、晴れてあはき師として就労した方々も、電子カルテ導入等により一定以上のパソコンスキルを求められるなど、視覚障害者を取り巻く状況は厳しさを増しているそうです。
 一方、最近では音声認識ソフトを活用するとともにブラインドタッチ等の技術を習得することで、事務職等に就労される方も増えてきています。私も実際こうした仕事に携わっている方の職場風景を見学させていただきましたが、健常者と変わらぬ仕事ぶりに正直驚きました。ただ、盲学校の教育だけでここまでのスキルを身に付けたわけではないそうで、情報教育に関しては職場で活用できるレベルでのWordやExcelのスキルを習得するなど、より実践的なカリキュラムになるよう強く望まれています。
 いずれのケースにおいても、盲学校における情報教育の重要性が高まっていることが伺えます。そこで、昨今IT技術が飛躍的に進化する中、iPADを活用した教育に力を入れている福井県立盲学校の事例を紹介したいと思います。
 福井県ではICT機器の長所を活かした授業の展開を目指す「スマート教育推進事業」の一環として平成26年9月に県立盲学校に15台のiPADを導入し、高等部の生徒に1台ずつ貸与を始めました。先生方も障害特性に応じた教育の実現に向け、より効果の高い教材作成に向け試行錯誤を繰り返す中、現在では従来の授業から飛躍的に効果的な授業が展開されているそうです。
 弱視の方はそれぞれに様々な見え方があります。そこで、盲学校では「羞明」と呼ばれる光を過度にまぶしく感じてしまうという症状をお持ちの方に対し、背景を白黒反転する機能や文字を大きくする機能を備えもつ「拡大読書器」と呼ばれる機械を備え付けたり、紙で資料を配布する場合に生徒一人一人の症状に合わせた文字フォントで資料を用意するなど、これまでも様々な機器整備や工夫を施してきました。
 こうしたなか、iPADの登場により教育環境が飛躍的に向上しました。みなさまはiPADに標準装備されている「アクセシビリティ」という機能をご存知でしょうか。この場には持ち込みができませんので、ここで実演出来ないのが大変残念ですが、ぜひiPADやiphoneをお持ちの方は一度「アクセシビリティ」を設定してみてください。「アクセシビリティ」には拡大読書器と同様の機能が備わり、また、画面の文字を全て音声で読み上げるボイスオーバー機能は、全盲の方にも利用されています。そして、普段、私たちもよく活用する2本指で画面を広げたり縮小したりするピンチ操作にて文字の大きさを自由に変えられますし、紙の打ち出しも不要です。さらに動画等も加え、iPADは視覚障害者にとっていつでもどこでも気軽に学習できる環境を提供したのです。
 こうした機能を活用し、福井県立盲学校ではほぼ全ての教科でiPADを活用しているそうです。いくつか授業内容を伺いましたが、なかでも驚いたのが体育の授業です。視覚障害の方は運動の動きを覚える際に、音で動作を確認することがあるそうで、先生が実際の動きをあらかじめ動画に収め、映像や音を生徒が繰り返し再生し、動きを習得する。このような授業も展開されているそうです。
 さらに、学校内でWi-Fi環境を整備することで、インターネットを活用しながら生徒が自ら学習するといった工夫も取り入れているそうです。もちろん、これまでとは比べ物にならない情報量が生徒たちに入ることになります。
 こうした盲学校におけるICT教育については国においても動きがあり、具体的には文部科学省から委託を受けた慶應義塾大学が、視覚障害者用の電子教科書の開発にあたっており、福井県立盲学校そして本県の名古屋盲学校も研究協力校になっていると伺っています。
 そこで、本県の盲学校における情報教育ではどのような取組をしているのでしょうか。さらに今後、時代に合った情報教育をどのように進めていくのか伺います。
 ここまで、時代の変化に即した情報教育の重要性について触れてきましたが、もう一つ、時代の流れに関わらず就労につなげるための教育として重要視されるのが歩行支援です。視覚障害者を雇用するにあたり、会社側が懸念する問題として、公共交通機関を利用して安全に職場に通えるかどうかという点があるからです。
 もちろん、盲学校に通学する際にも同様な事象が発生しますので、歩行訓練士等による一定の訓練がなされるわけですが、就労につなげるためには、この点を特に意識しなければならないと感じます。盲学校には自立活動という授業があるものの、週1コマ50分という限られた時間の中、実際の通学に即した歩行訓練を個別に行うことは困難であることから、福井県立盲学校では社会福祉法人 光道園に委託し、歩行訓練士の指導の下、自宅から最寄り駅、ターミナルである福井駅構内の歩き方、学校から最寄り駅等の訓練を授業とは別で行っているそうです。
 そこで伺います。歩行訓練等、盲学校の自立活動に関する教育を一層充実させていくため、本県としてどのように取り組むお考えでしょうか。
 また、視覚障害者の自立支援を提供する施設が非常に少ない中、地域における盲学校への期待も大きいと思います。医療機関、相談支援機関、訓練機関等との連携をどの様に行っているのか伺います。

 次に、雇用につなげる行政の支援について伺います。
 これまで述べてきたように、IT技術の進展に伴い、事務・情報分野において視覚障害者の雇用が実現可能となりつつありますが、やはり視覚障害者の雇用というと「あはき」と思われる方が多いのではないと思います。本年4月より障害者雇用率が改正され、さらに関心が高まる一方、経営者からは障害者に見合った仕事がわからないといった声も上がります。
 先日、障害者の雇用を積極的に進める会社に伺った際、経営者の方が「視覚障害者の方のパソコン作業を初めてみて正直驚いた。わが社でも視覚障害者の方にお願いする仕事を検討してみたい」と話されていました。このように視覚障害者が様々な職種で実際に働いている姿を企業に知って頂くような工夫も必要ではないでしょうか。また、こうした課題は視覚障害者だけにはとどまらないと思います。
 そこで、企業に対して、視覚障害者も含め障害者の個々の能力・特性を知ってもらうために、今後、どのような取組を行っていくのか伺います。


《答弁要旨》

(教育長)
 まず、盲学校における情報教育についてお答えいたします。
 現在、本県の盲学校2校におきましては、視覚障害に対応したパソコンを使って、読み上げ機能や点訳・点字編集機能など、児童生徒一人一人の見え方に配慮した支援ソフトを活用しながら、文書作成や表計算、検索などのスキルを身に付ける授業を行っております。
 また、名古屋盲学校では、議員お示しの文部科学省の研究とは別に、平成  28年度から3年間、本県独自にタブレット型端末の活用に関する研究を行っており、持ち運びや多機能、操作性に優れているといったタブレット型端末の特性を生かした取組で学習効果を上げております。
 この研究成果も踏まえて、平成30年内を目途に策定する次期特別支援教育推進計画におきましては、タブレット型端末を効果的に用いた盲学校の情報教育の推進方策を盛り込んでまいりたいと考えております。

 次に、自立活動に関する教育についてでございますが、盲学校では、視覚障害による学習や生活上の困難を克服するため、歩行指導や点字指導、視覚補助具の活用など、自立に必要な支援・指導を一人一人の教育的ニーズに応じて行っているところであります。
 次期特別支援教育推進計画におきましても、盲学校における自立活動が、より卒業後の就労に結び付くものとなるよう、歩行訓練士による支援など、職業生活へのスムーズな移行を柱の一つに掲げたいと考えております。
 また、医療機関等の関係機関との連携につきましては、平成28年度から、眼科医や学識経験者、視覚障害者を支援・訓練しているNPO法人関係者、弱視対象の特別支援学級担当者などを構成員とする「視覚障害教育支援会議」を設け、盲学校在籍者だけでなく、広く視覚障害のある幼児児童生徒に対する支援内容や方法等について協議を行っております。
 今後とも、関係機関との緊密な連携により、視覚障害教育の更なる推進に努めてまいりたいと考えております。

(労政局長)
 障害者雇用促進対策費に関し、県内企業に対して障害者の能力を知ってもらうための取組について、お答えいたします。
 本県の障害者の雇用数は、毎年、着実に増加してきておりますが、その背景には、障害者ご本人のご努力はもとより、IT技術をはじめ障害を補う各種技術の活用、職場環境の改善に係る事業主の努力・工夫などがあり、障害者が活躍できる職域も拡大してきております。  
 今後、法定雇用率の上昇に伴い、さらなる障害者雇用の促進を図るためには、こうした具体的な先進事例を企業へと情報提供していくことが、大切であると考えております。
 例えば、視覚障害者が拡大機能を用いたIT技術によりパソコン作業を行う例や、聴覚レベルを高める器具を使用する聴覚障害者がほとんど支障なく事務作業を行っている事業所が、県内にも数多くございます。
 また、障害の特性を踏まえて、作業効率や安全性を高めるための独自の機械・器具を導入し、製造現場で障害者雇用が図られている事例もございます。
 こうした実例を、企業経営者や人事担当者等を対象として開催する「障害者雇用促進トップセミナー」や、障害者雇用に先進的な企業と直接交流を図る「障害者雇用企業情報交換会」などの機会に好事例として広く紹介することにより、障害者の雇用機会の拡大につなげてまいります。


要望事項

 要望させていただきます。
 今週火曜日に行われたピン芸日本一を決める「R-1ぐらんぷり2018」にて、生まれつき全盲に近い弱視という障害を持つ濱田祐太郎さんが、3795人の頂点に立ちました。濱田さんは高校から盲学校に進み、マッサージ指圧師、鍼灸(しんきゅう)の資格をとったものの、お笑いの夢を諦めきれず、卒業後、吉本芸能総合学院に入学した経歴を持ちます。番組をご覧になった方もお見えかも知れませんが、濱田さんは「視覚障害者のあるあるネタ」という切り口で、視覚障害を抱える人とそうではない人の間にある意識のズレを巧みに笑いに変えます。なかでも盲学校のネタが出てきたときには「今、まさに盲学校に関する質問を作成しているなかで笑っていいものか」と頭をよぎりましたが、次の瞬間から思いっきり笑ってしまいました。それだけ高いレベルの笑いでした。「視覚障害者としてではなく、漫談家として優勝できたのがうれしい」と濱田さんはコメントされていましたが、R-1ぐらんぷり王者としてさらに活躍されること、そして視覚障害者の働くフィールドがさらに広がることを期待したいと思います。
 さて、丁寧にご答弁いただきましたので、今後の取組については次期特別支援教育推進計画にしっかり盛り込んで、展開をして頂かなければなりません。
 先ほども述べましたが、実社会で求められるレベルを目指したパソコンスキルの向上やiPADを始め時代とともに進化するIT機器の活用、また、歩行訓練士は全国的に見ても非常に少数ですので、訓練機関との連携を密にした歩行訓練の充実等、盲学校における教育の質の向上に努めていただきますようお願いします。
 視覚の障害は情報の障害でもあり、視覚障害者が本当に求める情報にたどり着くためには、多くの労力と周りの支援が必要です。社会福祉法人日本盲人会連合が全国の弱視者1,200人に対し行った調査では、福祉制度や支援と出会うまでに「5年以上の時間を要した」と回答した割合が4分の1に達したという衝撃的な結果も出ています。なぜ、それほどの時間がかかってしまうのでしょうか。そして、今も誰に相談していいのかわからず悩まれている方が多く存在しているのではないでしょうか。福祉を含め、様々な支援制度、ボランティア等の支援者、そして当事者団体と出会い、必要な配慮を受けられるようにするための、社会システムを構築する必要があります。
 先ほどご紹介した福井県では、視覚障害者とその家族を包み込むネットワークを目指し、医療機関、訓練機関、福祉施設、学校、行政機関等で羽二重ねっとを設立し、事務局は県立盲学校が担っております。本県においても、ぜひこうしたネットワークを充実させ、視覚障害の方に情報が行き届く、そして情報を吸収できるような仕組みを構築頂くようお願いして質問を終わります。


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