令和2年 2月定例会(2020.3.9)

議案質疑

 歳出第9款教育・スポーツ費第1項教育総務費および第4項高等学校費について伺います。
 私は現在、3名の女子学生をインターンシップ生として受け入れています。彼女たちは、NPO法人ドットジェイピーが主催する、30年後の日本一住みたいまちを決める政策提言コンテスト「未来自治体全国大会2020」に挑戦しており、その内容が興味深いものとなっておりますので、ここで少し紹介します。
 テーマは「グローバル社会に通用する人を育てる町」。背景として、中学生時代、アメリカから来た生徒がクラスに入ってきた際に、外国人とのコミュニケーションの取り方がわからず壁を感じてしまった苦い経験から、国内におけるグローバル化が加速する中、通用する人材を育てたいとの思いがあったそうです。
 現状の問題として3点、①自国や異文化の理解が欠如している。②コミュニケーション能力が低い。③行動力や興味、関心が薄い。を挙げ、それぞれの対策として3点、①留学しやすい環境整備としての「国際バカロレア教育(以下、IBと呼ぶ)の学校設立」、②コミュニケーション能力向上を目指した「幼児と高齢者の触れ合い」、③自分の将来に向け興味や関心を持つきっかけとしての「AI適性検査の実施」を2030年に実施する政策を立案しました。そこで、彼女たちの着眼点を意識しながら、これらの現状について確認したいと思います。
 始めにIB教育の学校設立について伺います。IB教育については、昨年12月定例会にて浅井よしたか議員が一般質問され、その際に触れられた大阪市立水都国際中学校・高等学校の授業を私も一緒に見学しましたので、一言だけ述べますと、同校の目指す、英語によるコミュニケーション能力の習得、自国の伝統や文化に根ざした国際理解教育、グローバルな視野に立って行動するための態度・能力を育てる教育が本当に高いレベルで実践されているということでした。
 教育委員会は先月「県立高等学校教育推進実施計画(第2期)」を公表し、「グローバル人材育成・国際理解教育の新たなモデルづくり」として、①グローバル人材育成の全県的な拠点校として刈谷北高校に国際探究科を新設し、IBディプロマ・プログラムの趣旨を踏まえ、探究的な学習を推進するための先進的な教育課程の研究に取り組む、②スーパーグローバルハイスクールの成果を踏まえ、旭丘高校と時習館高校を本県独自のあいちグローバルハイスクールに指定し、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーや地域と国際社会の懸け橋となる人材を育成する。と記載しています。
 そこで、刈谷北高校に新設する国際探究科の具体的な内容およびどのような成果を期待しているのか伺います。次に今年度から旭丘高校で実施されている「あいちグローバルハイスクール」で生徒にどのような成長が見られたのか伺います。加えて、海外の大学に進学しやすい環境の整備をどのように実現するのか伺います。
 次に、コミュニケーション教育について伺います。まもなく社会に巣立つ彼女たちが気にしているのがコミュニケーション能力です。日本経済団体連合会が公表した「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査」の結果によると、選考で重視した点として「コミュニケーション能力」が16年連続1位となっています。つまり、企業は過去からずっとコミュニケーション能力の高い学生を求めているのです。
 加えて、今後を見据えるとコミュニケーション能力がさらに求められると考えられます。2015年12月、野村総合研究所は、10~20年後に日本の労働人口の約49%が就いている職業において、AIやロボット等で代替が可能との分析を発表しました。この報告には、芸術、哲学など、抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、AI等での代替が難しい傾向にある。と記載されています。すなわち、大多数の人間の生き延びる道はコミュニケーション能力にあるといえるのです。
 その一方で、核家族化やITの進行といった環境の変化もあり、若者のコミュニケーション能力低下も懸念されています。
 こうした現状の下、最近、幼児期からのコミュニケーション能力向上と高齢者の健康増進を兼ねた多世代交流が各種施設や団体にて実施されており、それを教育プログラムとして確立するというのが彼女たちの政策提言です。
 実際、コミュニケーション教育についての必要性が謳われていますし、アクティブ・ラーニングなどもこうした対策の一つなのかもしれません。そのなかで、注目され始めた取組のひとつがイエナプラン教育です。
 イエナプランは、オランダで普及している教育スタイルで、異なる学年の子どもが混在するクラスが設けられ、教員が一方的に教えるのではなく生徒・児童が集まって議論し、考えるというスタイルで実施されます。いつ何を学ぶかは自分で計画し、教員がアドバイスするという形をとることで、それぞれのペースで学習し、全体の進度についていけない「落ちこぼれ」が存在しません。そして、「教えられる側」だった子は高学年に進むと「教える側」になり、双方の立場を順に経験することで、お互いを認めて多様性を尊重するようになるほか、社会で協同して積極的に活躍できる人材を育成することが教育のベースとなっているため、皆が楽しく一つの教室で学べるといわれています。
 日本では昨年4月、長野県佐久穂町に初のイエナプランを導入した私立大日向小学校が開校しました。現時点で公立学校に導入した例はありませんが、名古屋市では現行制度内でどのような要素を持ち込めるか研究が始まっています。
 そこで伺います。イエナプランを含め、コミュニケーション教育について本県ではどのように取り組まれ、今後どのように取り組んでいくつもりか伺います。
 最後に将来に向け興味や関心を持つための適性検査を含めた進路指導について伺います。こちらも彼女たちが今悩んでいる問題です。私はこれまで30名以上のインターン生を受け入れましたが、ほとんどの学生が将来の方向性がみえていない状況でした。今回の彼女たちも同様です。ベネッセ研究所による「高校生活と進路に関する調査」では、自分の適正(向き・不向き)がわからない、自分の就きたい職業がわからないと回答した学生がいずれも6割前後います。本県においてはここ数年、キャリア教育を意識した様々な取組が展開されていますが、そのなかで進路指導も大変重要な役割があると考えます。
 私は先日、ウインクあいち17階にある「あいち労働総合支援フロア」にて県の事業で公益社団法人愛知県労働協会が行っている一般職業適性心理検査を受けてきました。目的別に数種類の検査が用意されており、その中から「職業レディネス・テスト」を受けてみました。これは、中学校・高等学校等の生徒の進路指導において、生徒の基礎的志向性および職業志向性を知り、生徒の職業理解を深めることを目的としたもので、20~30分をかけて150問程度の簡単な設問に答えると、様々な視点から将来、職業を選ぶ時のヒントが示され、助言が得られます。ちなみに私の場合は、今の仕事が合っているとのことでした。
 言うまでもありませんが、この結果に縛られる必要は全くありませんし、そんな指導もされていません。この検査は、学生がなんとなくしか持ち合わせていない将来への関心が可視化される、自身が知らない様々な職業を知る機会となる等、将来への興味や関心を持つ動機付けとしてのツールであり、私自身その有効性は大変高いと感じました。ちなみに、検査+解説・助言で手数料は330円。ただし、今議会に提出されている愛知県手数料条例の一部改正により370円に改定される予定です。なお、学生は現在270円で改定後は310円、さらに学校に検査用紙がある等、検査の判定だけを依頼する場合には70円となっています。授業時数に決して余裕がないことはわかりますが、出来ることならば学校においてこうした機会を積極的に設けていただきたいと思います。
 そこで、自分の適性がわからないという生徒に対し、職業適性心理検査の活用状況を含めどのような指導をしているのか伺います。

《答弁要旨》

(教育長)
 刈谷北高校の国際探究科では、刈谷市とその周辺地域にグローバル企業が数多く立地するメリットを生かし、海外勤務の経験がある企業の方や日本で勤務する外国人による講演会、特色あるインターンシップなどを実施することを検討してまいります。
 また、海外帰国生徒にかかる入学者選抜の実施校であり、海外での生活を経験した生徒を受け入れている実績を生かして、グローバルなコミュニケーション能力やチャレンジ精神等を育み、グローバル社会で活躍できる人材の育成を図ってまいります。
 次に、「あいちグローバルハイスクール」における生徒の成長の様子についてであります。
 旭丘高校では、今年度ケンブリッジ大学訪問研修や韓国課題研究ゼミを実施しております。生徒たちは、ケンブリッジ大学では、学術研究についてのインタビュー調査を行うとともに、英語論文に関して直接指導を受けるなど、世界最高水準の大学における学問研究に触れることができました。また、韓国課題研究ゼミでは、日本と韓国の共通の課題の解決と関係発展の方策をテーマに学習に取り組み、12月に実施した韓国でのフィールドワークでは、オールイングリッシュで意見交換を行い、英語による実践的なコミュニケーション能力を高めることができました。
 高校からは、生徒たちが、多様な価値観に接する経験を通して、他者の意見に耳を傾けながら、自分の考えをオールイングリッシュで発表できる高度な発信力を身に付けたとの成果が報告されております。
 次に、海外大学に進学しやすい環境整備であります。
 教育委員会では、これまで文部科学省の留学促進事業を活用したり、あいちグローバル人材育成事業の一環として、生徒の短期留学等への助成を行ったりするなど、生徒の留学支援を実施してまいりました。
 また、海外の大学への進学を目指す生徒の増加を見据え、昨年度から、英語科教員を対象に海外大学への進学に係る説明会を実施しております。
 今後は、こうした取組を進めるとともに、留学や海外進学を志す生徒の資質・能力を育成することにより、海外の大学へ進学しやすい環境の整備に努めてまいります。
 次に、コミュニケーション教育についてであります。
 新学習指導要領では、児童生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うよう求めています。これは、教師が一方的に教えるのではなく、児童生徒が互いに議論し考え、認め合うという授業スタイルであり、イエナプランと共通する部分があります。また、県内の小中学校では学年間交流を活発に行い、異なる学年の教え合いや学び合いが実践されている学校もあります。こうした考え方もイエナプランと重なるところがあります。
 こうした様々な取組を踏まえながら、県教育委員会では、学ぶ内容と社会とのつながりを考え、課題探求に取り組む、「社会に開かれた教育課程推進事業」を実施し、社会参画型学習の研究を進めております。
 これらの取組を広く発信し、県内小中学校全体で、社会とのつながりの中で、より深い学びの実現を目指し、児童生徒のコミュニケーション能力を高めてまいります。
 最後に、適性検査を含めた進路指導についてであります。
 「職業適性心理検査」については、特に職業学科や就職者の多い普通科を設置する学校を中心に、県立高校では昨年度、42校で約1万人が受検しております。
 生徒はこの診断結果をとおして、自分の持ち味を生かせる仕事や職業についての知識や情報を得ることができます。また、教師は生徒一人ひとりの個性や適性を客観的に捉えることができております。
 今後もこうした適性検査を生徒のインターンシップや進路相談などに活用するなどして、キャリア教育の充実を図ってまいりたいと考えております。