平成23年公営企業会計決算特別委員会(2011.10.18)

【日比たけまさ】

 審査意見書の36ページにおいて、ここ数年は水道の最大給水量の変化は見られず、需要が頭打ちになっている。これに対して現在の浄水場の最大稼働率は80パーセント前後であり、十分に余裕を持った施設であると考える。
 一方で、経営のあらましの6ページにおける現在の施設整備計画では、計画給水量に対して10パーセントの予備力を持たせる計画となっているのだが、その必要性について聞く。

【水道計画課主幹(企画)】
 浄水場の施設能力については、水道施設整備の技術基準として活用されている「水道施設設計指針」において、計画給水量のほかに、原水の水質の汚染事故や施設事故時あるいは改良・更新時にも対応できるように予備力を確保して決定することが望ましいとされている。
 したがって、企業庁では平成19年3月に県営水道の事業計画を変更したが、一日当たりの計画給水量174万立方メートルに予備能力18万4,600立方メートルを加えた一日当たり192万4,600立方メートルの浄水場施設能力を確保することとした。
 なお、この予備能力については、水道用水の安定供給に必要であるとして受水市町へ説明の上、理解を得て整備するものである。


【日比たけまさ】

 予備力というものは当然必要であると思うが、この整備計画は平成27年までの計画になっている。今後、平成27年までに浄水場をこれだけ整備していく必要性はあるのか。

【水道事業課主幹(水道整備)】
 今後の浄水場拡張時期についてであるが、浄水場では、需要発生状況や、大規模な施設更新、土木構造物の耐震補強を実施する時期などを考慮して、拡張時期を検討していくこととしている。


【日比たけまさ】

 その時の状況を見ながら、今後、必要に応じて計画していくということか。

【水道事業課主幹(水道整備)】
 そのとおりである。


【日比たけまさ】

 審査意見書の9ページに関することであるが、大規模地震への対応として県営水道地震防災対策実施計画により毎年建設工事が進められていると思う。平成22年度の実績、件名、金額を教えてほしい。更に、計画の進捗状況及び今後の見通しを聞きたい。

【水道事業課主幹(水道整備)】
 愛知県営水道は大規模地震時においても生活必要用水を確保するため、平成15年1月に工期を平成26年度までとした「愛知県営水道地震防災対策実施計画」を策定し、受水団体との連携施設の整備や既存施設の耐震補強、緊急時対応施設の整備など、各種施設整備に取り組んでいる。
 平成22年度の実施内容については、事業費として約22億円を執行したところである。
 その主な内訳は、既存施設の耐震補強として、水管橋30橋の耐震補強を約1億円で実施した。進捗状況としては全165橋に対して135橋完成し、進捗率は82パーセント、今年度残りを実施して全て完了となる。
 次に、水道水を貯めておき、地震災害時や事故時に備える広域調整池については、安城始め5池の広域調整池の築造を約6億円で実施して、そのうち安城広域調整池を完成させた。進捗としては全25池に対して14池を完了し、進捗率は56パーセントとなっている。
 次に、非常時に浄水場間などで広域的な水運用を可能とする連絡管などの管路整備については、豊橋城下線及び第2犬山幹線で約2.2キロメートルの管布設を約14億円で実施している。進捗としては全142キロメートルに対して99キロメートル完成し、進捗率は69パーセントとなっている。
 今後の見通しについては、これまでに水管橋等の耐震補強及び受水団体との連携施設整備がおおむね完了したため、今後は、広域調整池、連絡管などの整備及び浄水場等の耐震化などを鋭意進めていくこととしている。


【日比たけまさ】

 広域調整池や連絡管などはまだ相当工事が残っているようだが、今後この計画を進めていくにあたって水道料金への影響はあるのか。

【水道計画課主幹(業務・経営計画)】
 地震防災対策は、県営水道料金にできるだけ影響を与えないよう、中期経営計画に位置付けたうえで着実に実施しているところであり、この地震防災対策が全て完了した場合においても、水道事業会計の給水原価への影響については、現在の収支状況を考えると、現行の料金の中で対応できるものと考えている。


【日比たけまさ】

 現行の計画であれば水道料金への影響はないとのことであるが、今回の東日本大震災の影響を踏まえ、地震防災対策を見直す考えはあるのか。現時点でどのように考えているのか。

【水道事業課長】
 東日本大震災では、地震の揺れによる被害や電力供給の停止による被害もあったが、特に津波による被害が甚大であった。
 この東日本大震災の影響を踏まえた県営水道の地震対策であるが、地震の揺れへの対策としては、東日本大震災の地震動は最大震度7であったが、既存施設の耐震補強も震度7を考慮して進めている。
 津波に対しては、現行の県防災局想定の2から3メートルの高さの津波による浸水区域に水道施設はないため、現在は津波対策は計画していない。
 しかし、今後、国の中央防災会議や県防災局で、従来の東海地震・東南海地震に南海地震を加えた3連動地震についての地震動及び津波の高さについての新たな推計が行われると聞いているので、その結果により県営水道の地震対策について見直しを実施することとしている。
 なお、電力対策としては、現在、2回線で受電しているので自家発電設備を設置していない一部の浄水場にも今後、自家発電設備を備えることとして、今年度1浄水場で工事にかかり、順次早急に整備していくところである。


【日比たけまさ】

 これから津波対策や電力対策について見直すということであれば、これにどれくらいの金額がかかるのか。また水道料金への影響があるのかなどは今後検討し、現時点ではまだ分からないということなのか。

【水道事業課長】
 水道施設は余り沿岸部にはなく、浄水場は丘の上などにあるので、比較的影響は少ないと思っている。しかし、防災局等の想定を受けて、改めて見直していくということを考えているところである。


【日比たけまさ】

 水道という大切なライフラインについては、見直しが必要であれば見直すべきであるので、防災局ともしっかり調整した上で進めることを要望する。