平成29年一般会計・特別会計決算特別委員会質問(2017.11.8)

《産業労働部・労働委員会事務局関係》

【日比たけまさ委員】

 産業空洞化減税対策基金を原資とする産業立地補助金については、平成24年度の制度発足から5年経過したと思う。この制度の概要やこれまでの採択件数、採択金額の詳細を伺いたい。

【産業立地通商課主幹】
 産業立地補助金につきましては、3つの補助制度がございます。
 1つ目は、高度先端分野における製造業の工場や研究所の新増設への投資を補助対象とする「21世紀高度先端産業立地補助金」でございます。
 2つ目は、市町村と連携し、一定の要件を満たす業種で20年以上同一市町村内に立地する企業がその地で再投資をする場合に利用する「新あいち創造産業立地補助金Aタイプ」でございます。
 3つ目は、本県の重要な産業分野で、サプライチェーンの中核をなす企業や高い成長性が見込まれる分野を持つ企業が利用する「新あいち創造産業立地補助金Bタイプ」でございます。
 この補助金につきましては、平成24年度から平成29年度の第1回補助金審査会議までに224件を採択し、採択金額は約230億円となっております。その内訳としましては、「21世紀高度先端産業立地補助金」が17件、約80億円。「新あいち創造産業立地補助金Aタイプ」が182件、約97億円。「新あいち創造産業立地補助金Bタイプ」が25件、約53億円となっております。

【日比たけまさ委員】

 企業規模別、事業分野別、工場・研究所別がわかれば伺いたい。

【産業立地通商課主幹】
 1つ目の「21世紀高度先端産業立地補助金」につきましては、17件のうち、大企業が8件、中小企業が9件となっております。分野としては航空宇宙が6件、環境・エネルギーが4件、情報通信が3件、その他が4件となっております。また、工場が8件、研究所が9件となっております。
 2つ目の「新あいち創造産業立地補助金Aタイプ」につきましては、182件の内、大企業は17件、中小企業が165件となっております。分野としては企業立地促進法に基づいて地域が集積を図りたい指定集積業種が72件、自動車が83件、健康長寿が9件、航空宇宙が8件、ロボットが5件、その他が5件となっております。また、工場が178件、研究所が4件となっております。
 3つ目の「新あいち創造産業立地補助金Bタイプ」につきましては、25件の内、大企業は8件、中小企業が17件となっております。分野としては自動車が18件、航空宇宙が4件、その他が3件となっております。また、工場が23件、研究所が2件となっております。

【日比たけまさ委員】

 件数ベースだが、それぞれの補助金の目的・ねらいにあった業種や企業規模が見受けられる。この補助金のこれまでの事業効果及び現在の課題と今後の方向性について伺いたい。

【産業立地通商課主幹】
 まず、事業効果ですが、これまでにこの補助金を活用していただくことによりまして、工場や研究所の建設などに約4,000億円を超える投資や、工場や研究所で働く39,000人を超える雇用者を維持したり、新規雇用を生み出す効果が見込まれています。本県産業の振興と雇用の確保に大きな貢献をしていると思われます。また、 産業空洞化の防止に効果を上げていると考えています。
 次に、課題ですが、「新あいち創造産業立地補助金Aタイプ」を申請する場合には、市町村に県の補助制度に対応した補助制度が制定されている必要があります。残念ながら県下54市町村の内、まだ18の市町村に制度がないことが挙げられます。
 制度を設けない理由は、財政状況や、対象となる企業がないなど様々でありますが、県といたしましては、制度を持っていない市町村につきましても、そこの職員とともに企業訪問して、域内の企業の現状を把握することに努めており、企業に再投資の意向がある際には、当該市町村に対して制度の創設を促しております。
 これによりまして、平成28年度には江南市始め3市が、今年度も蟹江町が制度を創設しております。県といたしましては、制度を持っていない市町村にも制度の創設を働きかけるとともに、創設の希望があれば市町村に積極的に協力してまいりたいと考えております。
 最後に、今後の方向性につきまして、この補助金は、これまで多くの企業の立地や再投資の場で活用され、本県の産業力の維持・発展と雇用の場の確保に大きく貢献してまいりました。
 また、この補助金では、中小企業も利用しやすいように投資額や雇用者数といった要件を大企業よりも低く設定しており、これまでの採択件数224件のうち中小企業が191件、約85%を占めています。愛知県の産業の基礎となる中小企業の強化にも大きく貢献しております。
 さらに、本年度につきましても、昨年度を上回る件数の申請が見込まれるなど、企業のみならず、県内市町村からも大きな期待をされております。
 このため、今後もこの補助制度を企業に積極的に活用していただけるように一層の周知をしてまいりたいと考えております。

【日比たけまさ委員】

 「知の拠点あいち推進費」の(1)重点研究プロジェクト推進事業費について伺う。
 知の拠点あいち重点研究プロジェクトは、平成28年度から、Ⅱ期目として、平成30年度までの3年間で、次世代ロボット社会形成技術開発を始め3つのプロジェクトにおいて、全部で26の研究テーマを開始している。一つの目標に向かって、産学行政が連携し、研究開発に取り組んでいることは、本県のイノベーション創出に大きな貢献をするものと期待をしているところである。
 そこで、3つのプロジェクトはどのように設定され、これを構成する26の研究テーマはどのような手続きを経て選定されたのか伺う。

【産業科学技術課主幹】
 プロジェクトの設定にあたっては、次世代自動車、航空機、ロボット等の今後成長が期待される産業分野を念頭にして、企業へのヒアリングを通じ、多くの県内企業が プロジェクトに参画できる可能性等を考慮して、自動車安全技術、難加工・高機能部材など、7つの技術分野をまず設定しました。
この7つの技術分野をもとに、大学及び有識者からの意見等を踏まえ、次世代ロボット、水素エネルギー、先進材料・加工技術の3つの大きなプロジェクトとして設定しました。
 また、それぞれのプロジェクトに関する研究テーマについては、平成28年4月に公募を行いまして、38テーマの提案がありました。その後、地域の経済界、支援機関や各研究分野の有識者等で構成される「重点研究プロジェクトテーマ審査委員会」で審査を行い、県内主要産業が有する課題の解決に資する研究テーマであるとか、研究成果が県内産業等に波及していくことが期待される研究テーマとして、合計26テーマを決定しました。

【日比たけまさ委員】

 それぞれの研究テーマで3年間の研究計画を定めて進めていると思うが、どのような研究計画を策定し、進捗管理をどのように行っているのか。そして、それに対する評価はどのように行っているのか伺う。

【産業科学技術課主幹】
 研究計画は、26の研究テーマごとに毎年度の研究課題の達成目標とプロジェクト終了時の最終目標、及び課題解決や事業化・製品化に向けた具体的な取組内容を定めています。
 進捗管理は、研究期間中の研究マネジメント業務につきましては、公益財団法人科学技術交流財団に委託しております。同財団では、プロジェクトごとに研究管理を担う事業統括と科学技術コーディネータを設置しまして、研究開発会議等を適宜開催して、進捗度合を常に管理しています。
 また、プロジェクトの評価については、外部の有識者等で構成する「研究総合評価委員会」を設置し、「年次評価」、「中間評価」、「最終評価」を実施することとしています。「年次評価」は、各年度において、研究課題の目標の到達程度を把握し、必要に応じて研究計画の見直しなどの助言をしているところでございます。「中間評価」は、2年目のプロジェクト中間時期にあたる平成29年10月に実施したところであります。各プロジェクトの進捗状況と今後の見通しを評価し、研究計画の再構築と研究費の効率的な配分を行い、事業化を加速させてまいります。「最終評価」は、プロジェクトの終了年の年度末に実施し、製品、特許等のほか、地域産業への貢献などを評価し、プロジェクト終了後の展開についても助言することとしています。

【日比たけまさ委員】

 適切な進捗管理と評価のもとに研究開発を推進しているようだが、平成28年度において、具体的な研究成果があったら教えてほしい。

【産業科学技術課主幹】
 平成28年度の取組の成果でございます。
 次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクトでは、UR豊明団地で実証を予定しております在宅介護支援用のサービスロボットや、医療福祉施設で夜間巡回するロボットの試作品が完成し、介護福祉施設等での実証が始まりました。
 近未来水素に関するプロジェクトでは、水素ステーションで使う耐久性の高い触媒の開発や、メッキ処理工程で生成する水素を高純度で回収することに成功するなど、実証試験に向けた準備を整えました。
 先進材料・加工技術開発プロジェクトでは、航空機の接合部材を製造するための低コストで高精度な切削加工技術の開発や、3次元積層造形装置、いわゆる3Dプリンターを用いて、新しい金属材料で高い冷却性能を持つ金型の試作に成功するなど、個々の研究テーマで着実に成果を挙げつつあります。最終的な目標を達成するためプロジェクトを着実に進めていきたいと思います。

【日比たけまさ委員】

 自動走行実証推進事業の事業目的と内容を教えてほしい。

【産業振興課主幹】
 自動運転は、交通弱者等の移動手段の確保、交通事故の削減、新たな市場の創出が期待されることから、県は、システム・技術の開発促進や、社会的受容性の醸成を図ることを目的に、実証推進事業を実施した。
 事業内容は、公募・プロポーザル方式により、高精度3Dマップの作成等を行うアイサンテクノロジー(株)を選定し、同社を中心に、名古屋大学等や地域企業が連携する体制で実施した。
 実験実施の希望があった県内15市町の、都市部や中山間地域、離島など様々な道路交通環境下にある各路線において、総延長41km、総実走距離2,800kmと、全国的にも例がない規模での、いわゆるレベル3の実証実験を実施した。
 さらに、このうち4カ所、県民119名を対象に、自動運転車への期待や心配、利用意向等の項目でモニター調査を実施した。

【日比たけまさ委員】

 自動走行実証推進事業の成果と課題は何か。

【産業振興課主幹】
 成果としては、「技術面」では、自動運転に係る先進技術を有する地域の企業、大学と連携して、実証実験を積み重ねたことで、地域全体として知見の蓄積、技術の底上げにつながった。
 「社会面」では、近未来の新しい社会システムの実現可能性に高い期待や社会的受容性の大きさを確認できた。
 「ビジネス面」では、ドライバー不足等に対応する新しい交通モデルの構築や、センサーやソフトウェア開発、ITS等インフラ整備の分野で、新しい市場拡大の可能性が明らかとなった。
 一方、課題としては、「技術面」では、将来的に求められる完全自動運転の実現に向け、運転席に人が乗車しない実証実験の必要性が明らかとなった。また一事業者のみでの開発では限界があり、企業、大学、行政が連携の上で開発を進めていくことが有効と確認できた。
 「社会面」では、事故等の際の、民事、刑事等の各分野での法的責任の問題の存在、システムの法規制などが未整備で、多くの新しい社会制度設計の必要性が明らかとなった。
 「ビジネス面」では、事業として成立、採算の取れる交通モデルの構築や、より高性能、安価なセンサーやソフトウェア開発が求められることが明らかとなった。

【日比たけまさ委員】

 春日井市では、福祉車両や小型車両など、市民が有する課題に応じて実証実験を行うための検討会議が開催されたが、自動運転は愛知県が完全に引っ張っているので、市町村と連携して取組を進めてほしい。