平成29年一般会計・特別会計決算特別委員会質問(2017.11.9)

《健康福祉部関係》

【日比たけまさ委員】

 決算に関する報告書93ページ、福祉・介護人材確保対策費について、この事業は、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に基づき、県が創設した地域医療介護総合確保基金を財源として平成27年度から実施しているが、この事業の昨年度の当初予算額や補正予算による増減、不用額と執行率について伺う。

【地域福祉課主幹】
 当初予算額が2億5,853万円、昨年9月定例議会の補正予算で3,319万6,000円の増額、本年2月定例議会補正予算で1億1,627万1,000円の減額を行い、現計予算額は1億7,554万5,000円、不用額は1,349万7,000円で、執行率は92.3パーセントとなっている。

【日比たけまさ委員】

 補正予算による減額と不用額を合わせると、相当な残額が出ていることになるが、当初の計画どおりに事業が進まなかった理由について伺う。

【地域福祉課主幹】
 福祉・介護人材確保対策費では、面接会の開催、介護サポーターの登録、介護に関する普及啓発、研修実施などに対する補助事業など多岐にわたる事業を実施している。そのうち、昨年度当初予算に対する残額の多い事業は、介護の普及啓発事業で2,744万1,000円、研修受講支援事業で4,266万5,000円である。
 これらの事業は、介護に関するセミナーや講習会の開催経費、かくたん吸引等研修の受講料などに対して補助するものだが、補助先が市町村に加え介護保険サービス事業者など広範にわたるため、県が実施している補助制度の周知が不十分で利用が進んでいない。また、この事業の主な財源である地域医療介護総合確保基金は、国が管理運営要領等で補助の条件などを設けており、使い勝手がよくないことも原因として考えられる。

【日比たけまさ委員】

 介護人材確保に向けて、地域医療介護総合確保基金を有効活用するため、今後どのように取り組んでいくのか。

【地域福祉課主幹】
 介護保険サービス事業者に対する説明会等を通じて、事業者に対し、県が実施している補助制度の周知をより一層徹底していく。また、本年度は市町村で第7期介護保険事業支援計画を策定する年度であり、国が定める介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針でも、新たに人材確保対策が盛り込まれる。こうした動きも踏まえ、市町村に対し介護人材確保のための事業実施の働きかけを強めていく。
 また、これまでも国に対して地域医療介護総合確保基金の使いやすさの改善を要望しているが、引き続き補助条件の緩和など弾力的な運用を求めていく。

【日比たけまさ委員】

 決算に関する報告書136ページ、介護施設等整備事業費について、決算額は33億1,097万3,000円となっているが、昨年度当初予算額、補正予算による増減、不用額と執行率を伺う。

【高齢福祉課主幹】
 県事業費及び市町村事業費補助金合わせ、昨年度当初予算額は56億9,972万4,000円、本年2月定例議会の補正予算で22億5,571万7,000円減額し、減額後の現計予算額は34億4,400万7,000円、決算額は33億1,097万3,000円、不用額は1億3,303万4,000円で執行率は96.1パーセントである。

【日比たけまさ委員】

 補正予算による減額と不用額を合わせると、相当な残額が出ていることになるが、当初の計画どおりに事業が進まなかった理由を伺う。

【高齢福祉課主幹】
 介護施設等整備事業費のうち、市町村事業費補助金で多くの残額が出た。当初予算の編成段階では市町村から提出された介護施設等の整備計画に基づき予算を措置しており、施設整備を推進するため、事業者が確定していない整備計画も市町村からの要望があれば予算を措置している。
 当初予算と決算額を比較して介護施設等整備事業費全体で23億8,875万1,000円の残額が出た。整備施設数が減った理由として、設計変更などにより整備年度を遅らせたり、事業者が補助金を活用せず施設を整備したりするなど、主に事業者側の事情で整備を取りやめた事例が多かった。また、市町村が地区を限定して公募したことや公募の周知が不十分であったため、事業者の応募がなく補助金の申請を取りやめた事例もあった。

【日比たけまさ委員】

 このような現状を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか。

【高齢福祉課主幹】
 介護サービスの基盤整備を進めるためには、地域医療介護総合確保基金を有効に活用することが不可欠であるので、今後も市町村からの要望に対し必要な予算額を確保し、整備の促進に努めていきたい。また、補助事業の活用を促進するため、事業者に県内市町村の整備計画や補助制度の内容について、会議などを通じて周知を行い、整備の促進を図っていきたい。

【日比たけまさ委員】

 地域医療介護総合確保基金は非常に重要な財源であり、本県から国への来年度の要請でも、都道府県が必要とする事業を実施できるよう十分な財源を確保することが求められている。国費も県費も貴重な税金が原資であり、必要な施策に活用できるよう国に要望するとともに、県としても知恵を出して取り組んでもらうよう要望する。