令和2年 経済労働委員会(2020.10.2)

【日比たけまさ委員】

 昨年8月に開業した愛知県国際展示場(アイチ・スカイ・エキスポ)は、建築事業費343億円、全国第4位の展示面積6万平方メートルを誇る産業首都あいちの新たな交流、イノベーションの拠点の創出を目指して誕生した。
 初年度の想定稼働率は15パーセントとのことだが、昨年度の稼働率及び収支状況を伺う。

【国際展示場室長】
 アイチ・スカイ・エキスポの想定稼働率は、開業初年度を15パーセントとし、その後は段階的に上がっていくことを想定している。
 開業初年度となる昨年度の稼働率の実績は24.0パーセントとなり、想定を大きく上回ることができた。また、そうしたことも踏まえ、運営事業者である愛知国際会議展示場株式会社の収支状況は、昨年8月30日の開業から年度末までの期間では、約5,700万円の営業利益が出ていると聞いている。

【日比たけまさ委員】

 予想以上に好調な滑り出しであったが、現在はその状況が一変してしまった。本年に入り、新型コロナウイルス感染症が広がり始めた2月以降、政府は大規模イベント等の開催自粛や縮小を要請した。さらに、本県では4月10日から5月26日まで独自の緊急事態宣言が発出され、こうした催物は全て中止を余儀なくされた。緊急事態宣言の終了に伴い、政府から、イベントや展示会の開催制限の段階的緩和の目安が発表され、3段階のステップを踏んだ後、8月1日を目途に人数の上限を定めない解禁がされる予定だったが、7月下旬から感染者が再度急増したことを受け、当初予定よりも1か月以上遅れて、9月19日にイベントの人数制限が緩和された状況である。
 本来であれば、ホップ、ステップ、ジャンプでいうジャンプの年になるはずであったアイチ・スカイ・エキスポの運営も、大きく修正せざるを得ない状況だと思う。
 そこで、本年度の現時点での開催状況はどのようになっているのか、また、今後の見通しを伺う。

【国際展示場室長】
 新型コロナウイルス感染症の影響により、本年2月下旬以降、催事の中止が相次ぎ、また、本年度に入ってからは、県の緊急事態宣言発出を受け、4月11日から5月17日までの間、臨時閉館をするなどしており、7月上旬まで催事の開催が一切ないという大変厳しい状況だった。
 また、本年度の利用状況は、5月18日に再開した後は、7月中旬にSKE48のオンライントークイベントが開催されたのをはじめ、その後もグッドデザイン賞の2次審査が実施されたり、大型の産業展示会である名古屋ものづくりワールド2020が開催されたりしている。
 こうした中、展示場の広さを生かして、密を避けた開催が可能であることなどから、国家資格などの試験会場としての利用の実績や予約が出てきている。
 今後の新型コロナウイルス感染症の影響は見通せないが、こうした利用も、運営事業者と共に重点的に誘致していく。

【日比たけまさ委員】

 ようやくイベントや展示会を行える前提が整ったと思うが、実際にイベントや展示会を誘致するに当たっては、まだ不安を抱える主催者の立場に寄り添いながら、展示場側も一緒に乗り越えるといった熱意、熱量を伝える必要がある。例えば、大阪府、大阪市、大阪観光局が一体となり、感染症拡大を抑え、MICEを開催するための主催者向けガイドラインを発行し、できる限り支援する旨の記載をするなど、主催者へのラブコールが強く感じられる内容となっている。
 そこで、本県がこれまでに行ったウイズコロナにおける誘致の呼びかけについて伺う。

【国際展示場室長】
 まず、運営事業者では、全国的な業界団体である一般社団法人日本展示会協会に先駆けて、展示場における感染症防止ガイドラインを作成して、本年6月5日に発表している。
 また、行政による後押しが必要との催事主催者からの要望に応えて、知事と運営事業者代表の連名による、主催者や出展者と共に徹底した感染防止対策に取り組み、アイチ・スカイ・エキスポでの展示会、イベントの再開を後押ししていく旨のメッセージを6月19日に発出している。催事主催者からは、大変心強いとの評価をもらっている。
 さらに、MICEの業界誌、MICEJapan9月号に、アイチ・スカイ・エキスポの1周年記念特集記事を掲載しており、ウイズコロナに対応した新しい形の展示会、イベントの開催を後押ししていく旨の知事からのメッセージも掲載した。

【日比たけまさ委員】

 久しぶりの大型展示会として、名古屋ものづくりワールド2020がアイチ・スカイ・エキスポで開催された。そこで、開催状況及び展示場としての評価について伺う。

【国際展示場室長】
 名古屋ものづくりワールド2020が、本年9月9日の水曜日から11日の金曜日までの3日間開催され、主催者の発表によれば、出展が430社、来場者が1万720人であった。  初日には知事が会場を視察して、主催者であり、業界の大手であるリードエグジビションジャパン株式会社の名誉会長ほか幹部と面談して、継続的にアイチ・スカイ・エキスポを利用するように呼びかけた。
 開催に当たっては、アイチ・スカイ・エキスポとしても、消毒やソーシャルディスタンスの確保などについて、主催者と連携して、徹底した予防策に取り組んでおり、結果として大きな混乱もなく、無事に終えることができた。
 また、主催者から、新型コロナウイルス感染症の影響を心配していたが、予想を上回るにぎわいとなり、今後の開催に自信を持つことができたとコメントをもらっている。
 本県も、このような成功事例を積み上げることで、展示会、イベントの開催を後押ししていきたい。

【日比たけまさ委員】

 名古屋ものづくりワールド2020の開催と時を同じくして、ポートメッセなごやでは、こちらも久しぶりの大型展示会となる感染症対策総合展が開かれた。
 主催の一つに名古屋市があり、話を聞くと、新型コロナウイルス感染症に対する恐怖心が全国で蔓延していた春先は、市として、展示会の誘致を試みようにも、主催者側にその雰囲気が全くない状況で、自らが主催しないと一向に大型展示会の再開はできないと感じていたが、イベント関連業界からの要望もあり、市主催でコロナ対策イベントを開催する案が浮上し、議会も予算に賛成し、議決したとのことである。準備時期には、愛知県緊急事態宣言が発出されたが、中止しない強い思いで開催にこぎ着けたそうであり、MICE振興に対する熱意が非常に強く感じられた。
 また、横浜市では、横浜観光コンベンション・ビューローが、本年度、横浜MICE開催応援プランとして、ウェブ配信用資料制作費補助、会場費補助、感染拡大防止対策スタッフやグッズ費用補助等、各種支援メニューを展開している。
 そこで、MICE振興及びアイチ・スカイ・エキスポ利用促進策としてのこうした支援や、県主催イベントの実施に対する本県の考え、意気込みを伺う。

【国際展示場室長】
 アイチ・スカイ・エキスポの運営は、運営権を民間に売却するコンセッション方式を採用している。主催者に対する直接的な費用負担軽減策としては、運営事業者が様々な利用形態に応じた割引料金を設定している。
 県主催のイベントについては、庁内各局に、国際展示場室から催事の開催を呼びかけるとともに、Aichi Sky Expo利用促進補助金も活用しながら、官民連携による催事の開催を支援している。
 また、新型コロナウイルス感染症の対策イベントとしては、県と運営事業者の2者で構成する官民連携組織であるAichi Sky Expo活性化推進機構として、本年7月24日に安心・安全なMICEをアピールする目的でシンポジウムを主催している。
 シンポジウムでは、ウイズコロナにおけるイベント開催手法の変化、留意点などについて意見交換を行い、この様子をネットでも配信している。
 今後も、県、運営事業者、Aichi Sky Expo活性化推進機構が連携して、利用促進に取り組んでいく。

【国際観光コンベンション課長】
 本県では、名古屋市や地元経済界、ホテル、コンベンション団体等、MICEの関係者と連携して、愛知・名古屋MICE推進協議会を設置し、MICEの誘致等を行っている。
 MICEに対する支援は、この協議会を通じて、これまでもレセプションにおける日本酒の鏡開きや忍者隊の派遣など、アトラクションへの支援や参加者への記念品の提供などを行ってきた。現在、コロナ禍でMICEの開催が落ち込んでいる中での支援策は、他地域の事例などを参考に、関係者ともよく相談して検討していきたい。

【日比たけまさ委員】

 大阪府、横浜市は本県の競合相手であり、また、名古屋市は、ライバルである一方、互いの協力により相乗効果が期待できる関係である。こうした地域に負けない熱量を発してほしい。
 次に、アイチ・スカイ・エキスポが大きく関わるイベントとして、技能五輪全国大会及び全国障害者技能競技大会について伺う。
 アイチ・スカイ・エキスポを会場とする近日中に開催予定のイベントとして、第58回技能五輪全国大会及び第40回全国障害者技能競技大会がある。
 しかし、先日、感染拡大防止の観点から、無観客で開催することが発表され、同時に、本県の関わり方が、国との共催という位置づけから大会運営等に協力する形に変更された。
 この知らせを聞いたとき、県主催から一歩後退した印象を持ったが、このような関わり方に変更した経緯を伺う。

【技能五輪・アビリンピック推進室長】
 技能五輪全国大会及び全国障害者技能競技大会における共催とは、次代を担う子供、若者をはじめ県民に競技を直接見てもらい、技能振興などに資するという観点から、共催県が経費等を負担する条件の下、開催地に立候補するものである。
 本年の両大会が無観客開催となったことで、この前提が外れてしまったため、本県は共催者でなくなった。これに伴い、経費面では、全て国などの予算で大会を開催することになり、本県が負担する予定であった経費は、本定例議会に減額の補正予算を提出している。

【日比たけまさ委員】

 今回の運営については、残念な気持ちであるが、コロナ禍における厳しい税収環境の中で、様々な新型コロナウイルス感染症対策を講じなければならない極めて厳しい財政運営が求められているので、減額分については有効に生かしてほしい。
 本県は、2023年の第47回技能五輪国際大会の招致を目指していたが、昨年8月にロシア・カザン市で開かれたワールドスキルズインターナショナル(WSI)総会での投票において、フランス・リヨン市に敗れ、直後に知事は、2025年の第48回の招致を目指す考えを明らかにした。
 同大会開催地は、来年9月に中国・上海で行われるWSI総会において決定される予定であり、その前段として、本年10月にアイルランド・ダブリンで行われるWSI総会において立候補を表明すると聞いていた。現状はどのようになっているのか。

【技能五輪・アビリンピック推進室長】
 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、今月、アイルランド・ダブリンで開催の予定であったWSIの総会は、オンラインでの会議で、議題を大幅に絞った上で開催することになった。オンライン総会の議題には、2025年技能五輪国際大会の開催地の立候補に係る議題は含まれないことから、今回の総会において立候補を表明することはないとの情報を国から得ている。
 なお、総会での立候補表明は、セレモニーとしての位置づけのものであり、立候補の正式な手続は、WSI事務局への申請書類の提出により行われ、その申請期限が年内に設定されるのではないかと聞いている。
 引き続き、立候補に向けて、関係機関とともに準備を進めていく。

【日比たけまさ委員】

 しっかりと準備を進めて、間違いなく立候補が各国に伝わるようにしてほしい。
 2023年の技能五輪国際大会の招致を目指した際に用いていた資料には、アイチ・スカイ・エキスポを競技会場とし、延べ床面積約9万平方メートル、うち展示面積6万平方メートル、屋外仮設建築物、最大約4万8,000平方メートルで実施するとされている。
 しかし、アイチ・スカイ・エキスポの運営権のうち、多目的利用地4万平方メートルは、契約期間が2023年度末までと聞いている。
 この点について、技能五輪国際大会の開催に支障ないのか。

【技能五輪・アビリンピック推進室長】
 運営権の設定期間が仮に終了となった場合も、この土地は本県の所有であるため、本県の管理に戻る。
 2025年大会の開催計画の詳細等は現時点では決定していないが、アイチ・スカイ・エキスポの全敷地約28万平方メートルを活用する2023年大会の計画案を踏まえて、国と調整するものと考えているので、庁内の関係課室と十分に協議、調整を行い、大会の招致を進めていく。

【日比たけまさ委員】

 技能五輪国際大会の開催が実現できるように、関係機関としっかり連携してほしい。