令和3年 経済労働委員会(2021.3.16)

【日比たけまさ委員】

 クラウドファンディング活用事業者支援事業の経過を伺う。

【商業流通課長】
 クラウドファンディング活用事業者支援事業は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた小売店、飲食店、ホテル・旅館等を支援するため、本県が既存のクラウドファンディングサイトにプロジェクトを立ち上げ、参加店舗のクーポンや商品、サービスの販売促進を図ろうとしたものである。
 300店舗を目標に参加を募り、一般的に20パーセント程度必要となるクラウドファンディング手数料を、目標支援額3億円の範囲内で本県が負担することとし、参加店舗には、支援者の購入意欲を高めるよう、支援額の20パーセントの割増クーポンや、店舗独自の商品、サービスの提供をお願いした。
 事業のスケジュールとしては、本年度の6月補正予算が議決された後、昨年8月7日に本業務を担う委託事業者と契約を締結した。9月24日から参加店舗の募集を開始し、当初予定していた募集期日である10月22日を、12月10日まで延長して募集を行った。その後、11月24日から順次販売を開始し、当初予定していた期日である本年1月31日を、2月28日まで延長して支援を募った。

【日比たけまさ委員】

 募集店舗300店、目標金額3億円を目指していたとのことだが、実績を伺う。また、執行額はどのようになったのか伺う。

【商業流通課長】
 事業実績については、参加店舗、クラウドファンディングサイトに掲載された店舗は215店舗で、591万円の支援金額となった。
 予算の執行額は、委託事業者との契約時の予算額約8,400万円に対して、執行額は3,300万円程度となる見込みである。具体的には、予算額約8,400万円の内訳として、約5,600万円が支援金の実績に応じて支払う手数料、残りの約2,800万円が委託事業者における人件費や広告宣伝費等の事務費としていたが、支援金額が目標金額を下回ったことから、手数料が減少する一方、販売期間を延長したことによって、広告宣伝費等の事務費は増加し、実績として、手数料が約100万円、事務費が約3,200万円の計約3,300万円を執行し、約5,100万円が執行残となる見込みである。

【日比たけまさ委員】

 想定と実績の乖離についてどのように考えているのか伺う。また、比較的資金が集まった店舗の成功要因について伺う。

【商業流通課長】
 参加店舗が目標を下回った原因として、国が実施したGoToキャンペーンや、県内48市町村が実施したプレミアム商品券事業と重なったことがある。GoToイートのプレミアム分25パーセントや、GoToトラベルの地域クーポン15パーセントは国が負担し、プレミアム商品券はプレミアム分を地元市町村が負担する一方、本事業のプレミアム分は参加店舗に負担をお願いする仕組みであったことから、目標としていた300店舗に至らなかったと考えられる。
 次に、支援金が目標額を下回った原因だが、本事業は昨年春先の第1波の新型コロナウイルス感染拡大から事業者が再起することを支援するために立ち上げたものであり、想定していなかった第2波、第3波による外出自粛や、飲食店等における営業時間短縮など、支援者が積極的に購入しようとする機運の高まりに水を差す形となり、支援金額が伸び悩んだと考えられる。
 さらに、デジタルに不慣れな参加店舗が多数あったことが挙げられる。本事業は、クラウドファンディングの経験がない店舗が、クラウドファンディングサイトに掲載するまでの細やかな伴走支援を含めて委託事業者にお願いしており、多数のクラウドファンディング・ビギナーの人に申込みしてもらった。現在、参加店舗に対してアンケートを実施しているが、約8割の店舗がクラウドファンディングは未経験であり、各店での宣伝において、デジタルメディアを使いこなせなかったことも一因だと思う。
 比較的資金が集まった店舗の成功要因にもなるが、購入者のクラウドファンディングサイトへの流入経路の多くはSNSを介したものであった。実際1店舗で約150万円を集めて成功を収めたプロジェクトは、SNS等のメディアをうまく活用して、自身の店舗がクラウドファンディングに参加していることを幅広く拡散していた。このデジタルメディアの活用の有無、頻度が結果を左右したとも考えられる。

【日比たけまさ委員】

 アンケートを実施しているとのことだが、事業者からどのような声を聞いているのか伺う。

【商業流通課長】
 現在、アンケート実施中であるが、約6割の店舗から本事業に満足との回答を得ている。
 具体的な意見としては、支援金が集まらなかった、パソコンを使えないのでパソコンを使わない施策をお願いしたい、という不満の声もあったが、本事業はよい経験になった、という声も多く聞いている。
 GoToキャンペーンが新型コロナウイルスに対応する施策であったのに対し、クラウドファンディングは、それぞれの店舗が広告宣伝や資金調達の手段として今後も使えるビジネスツールであり、それを習得する契機になり、また、デジタルに不慣れな店舗がデジタルメディアによる広告宣伝方法について学ぶ機会にもなったのではないかと考えている。

【日比たけまさ委員】

 コロナ禍で依然厳しい経営環境に置かれている事業者に対しては継続支援が求められる。今回得られた課題を踏まえ、今後どういった施策につなげるのか伺う。

【商業流通課長】
 今回、コロナ収束後の経済回復に向け、県内の店舗や支援者が一丸となって行動を起こしていくことをイメージし、クラウドファンディング・プロジェクト・チームあいち元気アクションとして本事業を立ち上げた。
 アンケートでは、約6割の店舗から機会があればクラウドファンディングに参加したいとの回答をもらっており、また、今回の委託事業者からも、本事業をきっかけに誕生したチームあいち元気アクションの名前を今後も残していけないかとの声をもらっている。県主催の事業としては今回で終了するが、例えば、クラウドファンディング・ビギナーを対象としたプロジェクトなどに対し、店舗や支援者に安心感を与えられるよう、県が具体的な内容に応じて後援を行うなど、今後もクラウドファンディングに関わっていければと考えている。
 一方で、コロナ禍の影響で、小売店、飲食店、ホテル・旅館等は、依然として厳しい経営環境に置かれているので、市町村のプレミアム商品券発行事業を、来年度も引き続き実施して、事業者支援と地域の消費拡大に努めていく。

【日比たけまさ委員】

 日経MJに、日本における購入型クラウドファンディングの市場規模は、昨年度が約190億円だったのに対し、本年度は上半期だけでその金額を上回る実績をあげており、コロナ禍により節約意識が強まる中においても、応援消費というキーワードは消費者心理をくすぐるようであるが、この応援機運がいつまで持続するのかは不透明で、今後は商品の良さはもちろんのこと、応援したいと思わせる感情的なつながりをいかに作れるかがカギを握るという記載があった。今回得た知見を生かし、支援につながる事業の展開を要望する。