平成24年2月定例会(第6号)(2012.3.6)

【日比たけまさ】

 私は、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費愛知環状鉄道設備改修費補助金についてお伺いします。
 愛知環状鉄道は、高蔵寺駅から瀬戸市、豊田市と経由し、岡崎駅まで通じる全長四十五・三キロメートルの路線で、沿線には工業団地や住宅団地、また、大学、高校等が数多く立地し、地域住民の足としてなくてはならない存在です。
 愛知環状鉄道の経緯については御存じの方が多数おみえと存じますが、質問の趣旨にもかかわりますので、簡単に御紹介します。
 岡崎と多治見とを鉄道で結ぶ構想は古くからあり、大正末期には、地域開発のためにと沿線一市六町七村が立ち上がって建設促進運動が始まり、昭和二年には、鉄道敷設法で規定された予定線の一つに上げられました。その後、鉄道ではなく、バス路線として運行された時期を経て、昭和四十年から岡崎―豊田間、四十二年には豊田―瀬戸間、四十八年には瀬戸―高蔵寺間で工事が始まり、昭和五十一年に岡崎―新豊田間が国鉄岡多線として旅客営業を開始しました。
 しかし、乗客数が年間百九十万人と伸び悩む中、完成間近に控えていた新豊田―高蔵寺間が開通しても、輸送密度が国鉄路線の存続基準である一日四千人に満たないことが予測されたことから、昭和五十九年、国鉄は、愛知県に第三セクター化を申し入れ、県は、岡崎、豊田、瀬戸、春日井の沿線四市とプロジェクトチームを組み、検討を進めた結果、昭和六十一年、第三セクターとしての愛知環状鉄道株式会社が設立され、岡崎―高蔵寺間の路線運営を引き受ける形で昭和六十三年一月に開業することになりました。
 開業当時の運賃は、国鉄岡多線に比べ平均二八%アップの設定をしたこともあり、利用客の伸び悩みも想定されましたが、実質初年度の昭和六十三年度決算においては、年間乗客数四百七十二万人、これは当初予想の一三%増、営業収益十二億三百万円、同三〇%増、経常利益三千五十万円を計上し、いきなり黒字決算となると、開業わずか五年で累積赤字を解消します。
 その後は長らく黒字経営が続いていましたが、平成十三年度に赤字となり、平成十七年度に愛知万博による大幅な収入増により一たん黒字に転じたものの、平成十八年度決算で単年度約三億三千三百万円の赤字、前期純利益から相殺した繰越損失額は二億一千六百万円となり、再び赤字経営に転落しました。
 しかしながら、翌平成十九年度決算では黒字転換するとともに、輸送人員も現在では一千四百万人を超え、営業収入も現在では三十六億円と順調に推移をしております。愛知環状鉄道は、第三セクターとしては珍しい優良企業としてその名を示す存在なのです。
 次に、愛知県の支援について触れます。
 これまで愛知県では、沿線市とともに数回にわたり大きな財政支援を行っています。平成十年度から十六年度にかけては、沿線地域の将来的な開発に対応していくための一部複線化や、車両基地拡張などの施設整備に対し、全体事業費約百五十六億円のうち約三十八億円を、平成十三年度から十六年度にかけては、愛知万博開催時の円滑な観客輸送のための高蔵寺駅での直通運転化の施設整備に対し、全体事業費約二十七億円のうち約六億二千万円を投じています。
 さらに、平成十七年度から十九年度にかけては、トヨタ自動車による鉄道への通勤転換策や、豊田市が中心に取り組んでいるTDM、交通需要マネジメント施策による新規需要に対応する輸送力強化のため、新豊田―三河豊田間の複線化事業を実施し、全体事業費約三十一億円のうち約六億円を負担しています。
 これらの支援により愛知環状鉄道の輸送力は大きく強化され、さきに述べたとおりの年間乗客数の大幅増につながっています。
 このような経緯を踏まえ、今回の補助金について確認します。
 私は、今回の補助金については、さきに述べた支援とは性格が異なるのではないかと考えます。すなわち、これまでは輸送力強化という目的が主であることから、地域活性化という観点からも、県や沿線自治体としても補助金を出す必要性は理解ができるところです。その一方で、今回の補助金は、耐震対策等の設備改修に対する支援を行うと伺っております。
 冒頭に述べましたとおり、愛知環状鉄道は、県と沿線四市が中心となった第三セクター鉄道ではありますが、設備改修等の工事については、愛知環状鉄道株式会社が計画的にみずから行うことが基本であると考えます。
 そこで、県の財政状況が非常に厳しい中、今回、県と沿線市が補助金を出すという点について、その必要性を確認したいと思います。
 一点目として、県及び沿線市の支援の対象となる平成二十四年度の耐震対策事業等の工事内容、事業費の概要を伺います。
 次に、二点目として、なぜ県や沿線市が支援するべきと考えるに至ったのか、補助の必要性について伺います。

地域振興部長
 まず、御質問の一点目の県及び沿線市の支援対象となる平成二十四年度の耐震対策事業等の工事の内容及び事業費の概要についてお答えをいたします。
 愛知環状鉄道株式会社は、平成二十四年度に十億円程度の修繕、設備投資を見込んでおりますが、このうち、県及び沿線市が支援する事業の対象としては、まず、耐震対策事業として、災害時の緊急輸送道路と交差する橋梁の落下防止工事があり、事業費は五千八百万円であります。
 また、鉄道施設設備の老朽化への対応の一つとして、高架橋のコンクリート剥離に対する措置があり、事業費は三千万円であります。
 このほかの工事として、盛り土構造物の改良工事や、電車線路設備及び電力設備の更新工事などがあり、平成二十四年度の補助対象事業費は全体で約一億四千万円となります。
 次に、御質問の二点目の県及び沿線市の補助の必要性についてお答えします。
 最近の愛知環状鉄道株式会社の経営状況は、平成二十年度のリーマンショックに端を発する世界的な景気後退などの影響から経常損益は黒字と赤字が交互しており、不安定な経営状態が続いております。
 また、昨今の厳しい経済情勢や少子化の進展を考慮しますと、今後、利用者の大幅増加を期待することはできず、一方で、耐震対策及び老朽化対策に伴う大規模な修繕、設備投資にかかる経費は、会社によりますと、今後十年間に毎年数億から十数億円と想定されており、厳しい経営状況が続くものと見込まれております。
 こうしたことから、すべての工事を自社で実施することは体力的に厳しいと判断し、安全・安定輸送の確保の観点から、必要度、緊急度の高い工事についてのみ、国の補助制度に協調する形で沿線市とともに補助を行うこととしたものであります。
 以上でございます。


【日比たけまさ】

 ただいま御答弁いただきました内容に関しまして、最後にもう一点質問します。
 ただいま地域振興部長から愛知環状鉄道の経営状況を伺いました。黒字経営といっても、その内情は厳しいこともわかりました。
 そうなりますと、利用者への負担、すなわち運賃が気になります。先ほど述べましたように、愛知環状鉄道の運賃は、当初から割高という印象が強くありました。今でも利用者からは、運賃が高いという声を数多く聞きます。
 そこで、今後の運賃についてはどのようにお考えであるのか、値上げ等も考えているのかについてお伺いします。

地域振興部長
 愛知環状鉄道の運賃についてお答えをいたします。
 愛知環状鉄道株式会社においては、開業以来、現在までのところ、消費税が導入されました平成元年四月と、その税率が引き上げられた平成九年四月の二回運賃を値上げしております。
 運賃の値上げについては、経営状況だけではなく、鉄道事業関連の物価や、他の鉄道事業者の動向などから総合的に検討されるものでありますが、現在のところ、同社においては、経済情勢に大きな変化がない限り、値上げの予定はないと聞いております。
 以上でございます。