平成25年地域振興環境委員会(2013.12.10)

【日比たけまさ委員】

 始めにリニア中央新幹線の環境影響評価手続について伺います。
 私は、10月14日に春日井市の篠原小学校体育館で開催された「リニア中央新幹線環境影響評価準備書の説明会」に参加しました。そこで感じたことを2点述べさせていただきます。
 一点目は、住民の関心の高さです。私が参加した会では小学校の体育館が満席になる状態でした。JR東海の方に聞いたところ、春日井市内で計4回開かれた説明会には延べ1000人以上の方が出席されたとのことであります。もう少し説明会の回数があってもよかったのではないかと思いました。
 二点目は、説明におけるJR東海側の意識と住民意識の乖離であります。主な質問項目や回答については、先日伊藤議員が発言されたとおりでありますので、省略させていただきますが、私の印象として、質問に丁寧かつ正確な回答をしようとするJR東海の姿勢が感じられる一方で、私たち住民にとっては聞き慣れない専門用語や初めて耳にする言葉を用いての説明が多く、不安を解消したいという住民の気持ちとは乖離があったと思います。
 そこでまず、県は、JR東海が実施した説明会には出席したのかどうか。また、出席していたなら、その状況をどのように認識しているのか伺います。

環境活動推進課
 リニア中央新幹線の環境影響評価準備書に係るJR東海による住民説明会につきましては、環境影響評価法に基づき、当該図書の縦覧期間中に行うことが義務付けられております。9月27日から10月14日にかけまして、春日井市内4回、名古屋市内2回の計6回開催されておりますが、説明会の状況を把握するため、県の職員がすべての説明会に出席しております。
 この6回の説明会には、毎回約100名から300名の住民の方々の参加がございました。
 また、説明会では、JR東海から事業概要、事業による環境影響の予測・評価等について約1時間の説明がされたのち、住民の方々からの質問に対する質疑応答が約1時間行われました。住民の方々からは様々なご質問がございましたが、工事中の騒音、振動や、磁界につきましては、毎回ご質問がございました。
 このうち磁界については、大変専門的な内容であり、住民の方々にとって、なかなか理解することが難しいのではないかと感じたところでございます。

【日比たけまさ委員】

 次に、来年1月に開催される公聴会について伺います。この会は先の説明会とは異なり県が主催する会であり、環境影響評価手続において基本的には県民が意見を発せられる最後の場となると認識しております。そこで、県が実施する公聴会はどのようなもので、そこで述べられた意見の反映はどのようになるのか伺います。

環境活動推進課
 公聴会につきましては、愛知県環境影響評価条例に基づき、法の規定に上乗せして行うものでございまして、環境保全の見地からの意見を持つ方々から、県が、直接、意見を伺う機会を設けるものでございます。
 リニア中央新幹線の環境影響評価準備書に係る公聴会は、来年1月11日、土曜日に名古屋市中区栄にあります伏見ライフプラザで開催することとしておりまして、現在、12月20日まで公述人を募集しているところでございます。
 公聴会で述べられた意見につきましては、事業者が取りまとめました住民意見の概要とそれに対する事業者見解、さらに関係市長の意見とともに、愛知県環境影響評価審査会に提出いたしまして、これらを踏まえまして、環境への影響やそれを回避・低減するための措置等が適切に行われているか、審査会において慎重に審査いたしまして、答申をいただくこととしております。
 県といたしましては、この審査会の答申を踏まえまして、環境保全の見地から知事意見を述べていくこととなります。

【日比たけまさ委員】

 要望です。リニア中央新幹線の開業は今から14年後。目の前に迫った現実と感じられている方がどれだけいるか私にはわかりませんが、少なくとも地元住民にとって意見を言える時間はもう限られています。不安を抱える住民の気持ちを県として十分に汲み取り、JR東海に対してより一層わかりやすい説明に努められるよう働きかけること、そして、住民の意見にもしっかりと耳を傾けて、環境保全の見地から適切に審査されることを要望して次の質問に移ります。
 次に、産業廃棄物の焼却施設の設置に関してお伺いします。
 以前、わたくしの地元の春日井市において、産業廃棄物焼却施設の建設計画を巡り、平成22年の暮れ頃に、設置許可を取り消された事業者、名成産業(株)が県に対して損害賠償請求の訴訟を提起したと記憶しております。会議録等を閲覧したところ、この案件については、これまで本会議や委員会でも様々な議論がなされています。
 そこで、この件関していくつか伺いますが、まず、始めに、この損害賠償請求訴訟の概要をお聞きします。

資源循環推進課
 この損害賠償請求訴訟は、事業者が春日井市松河戸町に計画し、廃棄物処理法に基づき、設置許可を受けた産業廃棄物焼却施設について、県が平成22年2月に行った設置許可取消処分は違法であるとして、同年12月17日に国家賠償法に基づき、本県を被告に、違法な許可取消によって被った損害として、逸失利益等約16億7,300万円及び遅延損害金の支払い並びにその仮執行の宣言を求めるとして提訴したものです。

【日比たけまさ委員】

 産業廃棄物処理施設設置許可の取消処分についてですが、どのような経緯で取消に至ったのか教えてください。

資源循環推進課
 この該事業者は、平成13年5月に産業廃棄物焼却施設の設置許可申請を行っております。
 許可を行うにあたって、県は、専門家で構成する廃棄物処理施設審査会議において、生活環境保全上の見地から意見を聴取しております。
 審査会議では、この焼却施設は、傾斜回転床炉、これは、お椀形の炉が一定の角度で回転しながら、廃棄物を焼却するという全国でも例がほとんどない特殊な方式であることなどから、委員による先行事例の調査を行うなど、施設稼働による生活環境への影響などについて約3年にわたり慎重に審査が行われました。
 県は、審査会議の報告を踏まえ、平成16年4月に許可しております。
平成19年10月に施設が竣工した後、県は、原告が実施する試運転時に、適切な維持管理・運転管理状況を確認するための行政検査を行いました。
 検査は、平成20年3月と10月の2回行いました。検査は、事業者が自ら作成した維持管理計画、これは、施設を運転するに当たって、ダイオキシン類などの排ガスの性状に関する数値や騒音や悪臭の防止に関する事項など生活環境保全上遵守すべき数値などを定めたものであるが、2回ともこの計画に定めた数値を超過した項目があったため、県はこれに対してその都度、計画値を遵守するために必要な改善を講じるよう改善命令を発しております。2回目の改善命令は、平成20年12月に発出しております。
 そして半年後の平成21年6月に2回目の改善命令を受けた改善状況を確認するため、3回目の行政検査を行ったところ、維持管理計画値のうち2つの項目の超過が確認されました。一つは臭気指数、これは、煙突から排出される排ガスの悪臭の程度を表す値です。もう一つは熱しゃく減量、これは廃棄物が完全燃焼されているか判断する指標です。
 この2つの項目の超過が、2回目の改善命令に違反し、施設設置許可の必要的取消事由に該当するとして、平成22年1月に行政手続法に基づき聴聞を行った上で、2月15日に設置許可の取消処分を行ったものです。

【日比たけまさ委員】

 裁判の進捗状況はどのようになっているのかお伺いします。

資源循環推進課
 裁判では、原告が、取消処分の理由となった県の改善命令(2回目)、改善命令の根拠となった行政検査、取消処分に先立つ聴聞手続など、県が許可取消に至るまでに行った様々な行政指導や手続きについて、違法又は瑕疵があると主張したため、県もそれぞれの手続き等について、適正なものであることを立証する必要がありました。
 このため、平成22年12月17日提訴、平成23年2月の第1回口頭弁論からこれまでに18回の口頭弁論が行われ、また、原告、被告双方あわせて6人の証人尋問を行ったため、1審だけで3年あまりの長期裁判となったものであります。
 先月11月14日の第18回口頭弁論期日において結審し、名古屋地方裁判所において平成26年3月13日に判決が言い渡される予定となっております。

【日比たけまさ委員】

 3月13日とのことですが、判決の見込みはどのように考えられているのか、また、仮に県の主張が認められなかった場合、どのような対応をとられる予定なのかお聞かせいただきたいと思います。

資源循環推進課
 県としては、取消処分を行うにあたっては、必要に応じて環境省にも法解釈等の確認をしながら廃棄物処理法等に従って適法に行ったものと考えています。
 裁判においても、この点を弁論や証拠の提出、証言によってできる限りの主張・立証を行ったと考えておりますので、司法の判断につきましては、判決を待ちたいと考えております。
判決への対応は、具体の判決内容の詳細をみてから、判断することとなりますが、仮に原告の主張が 一部でも認められる判決が言い渡された場合、容認できるものではないため、控訴に向けた所要の手続き等を行うことになろうと考えています。
 なお、控訴にあたっては、地方自治法に基づき、議会のご議決が必要となるので、改めて県議会においてご説明をし、お認めいただくことが必要となると考えています。

【日比たけまさ委員】

 最後要望させていただきます。この裁判についてしっかりとした対応をとっていただきたいということをまずは要望させていただきます。そのうえで産業廃棄物の適正処理の確保は、地域の生活環境を保全し、県民の安心・安全な暮らしを守る上で、大変重要だと思いますので、こうした処理施設設置、あるいは、処理業の許可に当たっては、引き続き法に則った適正な審査の上、行うよう要望させていただきます。