平成30年12月定例会(2018.12.7)

《一般質問》

 通告に従い、順次質問させていただきます。
 始めに、治療と仕事の両立支援について伺います。
 この項目は、9月定例会にて新政あいち県議団 谷口知美幹事長が代表質問にて取り上げられ、県として「フォーラムの開催や啓発資料の作成に取り組む」との答弁を頂きましたので、本日は他自治体や民間団体の取組を紹介しながら、本県の取組の詳細や今後の施策展開について伺いたいと思います。
 厚生労働省の調べによりますと、「がん」は国民の2人に1人がかかる疾患と言われ、毎年約100万人が新たにがんと診断されるなか、3人に1人は就労可能年齢で罹患しています。その一方、がんの研究や治療の技術的進歩などにより、がん患者の生存率が向上するとともに、身体への負担の少ない手術方法の発達や薬の進化により、入院期間を短く抑え、外来治療の継続で対応できることも多くなってきました。つまり、何らかの配慮が必要なものの、治療と仕事を両立できる人が増えてきたということです。しかしこうした実態は、がん患者となった従業員側にも、雇用する企業側にも十分に周知されておらず、がんと診断された従業員が依願退職や会社都合の解雇により仕事を失っているのが現状です。
 がん患者の就労には「治療のための休業」、「休業状態からの復職」、「離職状態からの就職」の問題があります。これに対し、企業として取り組むことができるのは、がん罹患時におけるサポート制度の制定および運営です。しかし、ライフネット生命保険株式会社が昨年公表した「がん経験者572名へのアンケート調査」(以下、ライフネット調査という)によると、「罹患時の勤務先で利用したサポート制度に満足していますか」という問いに対し「サポート制度自体がない」との回答が43%、また「罹患時の勤務先で仮に制度があっても使えない雰囲気はありましたか」という設問では雰囲気があったとの回答が30%に上り、サポート制度の未整備や雰囲気醸成が十分に至っていないことが伺えます。行政の立場からも企業への支援の充実が求められるのではないでしょうか。
 東京都は平成25年3月、「東京都がん対策推進計画(第一次改定)」にて「がん患者の就労支援や情報提供の充実に取り組む」ことを明記し、様々な施策を展開しております。
 まずは、企業向けの啓発ツールの作成です。都では平成25年度に「がん患者の就労等に関する実態調査」(以下、東京都調査という)を実施、その結果に基づいて「必要となる就業上の配慮」や「他社での取組事例」等、がん患者の就労に関する知識や情報を掲載した「両立支援のハンドブック」を作成しました。加えて、両立が可能となる職場風土の醸成を図るための研修用DVDを作成し、広く展開しています。制作には大学教授、人材会社、社会保険労務士、企業の人事労務部署等、各方面の関係者が携わり、とてもわかりやすくかつ具体的な機材となっています。特にハンドブックは10万部作成し、様々な団体等に展開するなかで、企業からの問い合わせも多く、手応えを感じているそうです。
 次に、がん患者の治療と仕事の両立に関して優良な取組を行う企業への表彰です。この取り組みは平成26年度から実施し、毎年10社程度からの応募を受け、大学教授、社会保険労務士、産業医、患者団体等の評価委員会による審査を経て、受賞が決定します。また、受賞企業の取組やその効果等をまとめた「事例紹介集」を作成することで、取組の水平展開を促しています。
 さらに平成29年度からは、難病やがん患者を、治療と仕事の両立に配慮して新たに雇入れ、継続就業に必要な支援を行う企業に対し採用奨励金を、難病やがんの発症等により休職した従業員を、治療と仕事の両立に配慮して復職させ、継続就業に必要な支援を行う中小企業に対し雇用継続助成金制度を設け、10社以上から申込みを受けているそうです。
 お話を伺った保健医療局医療政策部医療政策課の千葉課長は「普及啓発を展開しつつ、次のステージに進まなければならない」と先を見据えた取組を課題として取り上げられていました。一方、本県における施策の展開はどの程度進んでいるのでしょうか。私は9月定例会での答弁を聞き“まさにこれから実践的な施策が展開される段階”と感じています。
 今後、迅速かつ充実した施策を展開するためには、民間団体との連携も重要であると考えます。そこで、こうした取組を実施している団体として名古屋市にある一般社団法人「仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジ」(以下、ブリッジという)について少し紹介します。
 ブリッジはキャリアコンサルタントを中心に、医療従事者・ピアサポーターなどで構成され、がん患者をはじめ有病者の治療と仕事の両立を支援する団体です。就労問題の多くは、患者と企業が共にがんに対しての理解が進んでいないことに起因していることから、患者向けにはワークショップや個人面談を通じて、一緒に最善の解決策を考え、また新たに就労するための必要事項を伝えるセミナーを実施する一方、企業向けには社員ががんなどの病気になった時にも受け入れやすい態勢をつくってもらえるよう、キャリアコンサルタントを通じて働きかけを行っています。
 がんの発症は、それまでの個人の働き方や働く意識について大きな変化をもたらします。ライフネット調査では4人に3人の方が「ワークライフバランスへの意識が変わった」、また東京都調査では「がん罹患後、約4割の人の働き方が変わった」とあり、こうした人々に寄り添うキャリアコンサルタントや社会保険労務士といった民間団体と連携することが、きめ細やかな施策の展開に必要ではないでしょうか。そこで質問します。

 1点目に、今年度、本県が実施する予定の「治療と仕事の両立支援フォーラム」について、対象企業や参加者数、フォーラムの内容等の詳細および作成予定の啓発資料の内容や発行部数、活用方法等について詳細を伺います。
 2点目に、患者によって症状、副作用が異なることから、就業への影響は個別性が高く、企業にとって具体的な対応における負担が大きいと考えます。企業が具体的に取組を進める際のサポート施策についてどのように考えられているのか伺います。
 3点目に、民間の関係団体の活動と連携して施策を推し進めることが効果を高めると考えます。県としてどのように認識されているのか伺います。
 4点目に、そもそも重篤な患者を出さないことが大切であり、健康経営という視点から従業員の健康の保持・増進に積極的に取り組む企業を増やしていく必要もあると考えます。県としてどのような施策を実施・検討しているのか伺います。

 続きまして、投票率向上に向けた取り組みについて伺います。
 私は毎年大学生の春休み、夏休みにあたる2月・3月および8月・9月の4か月間、「議員のもとでのインターンシップを通じて大学生が社会教育を学び、もって選挙投票率の向上を図ること」を目的としたNPO法人ドットジェイピーの活動に協力する形で、インターンシップ生を受け入れています。
 彼らは活動の締めくくりとして、関心を持った政策について立案、発表を行います。そこでこの夏、私のもとで活動をした2人の学生のテーマ「投票率を上げるために」の一部を紹介させていただきます。あらかじめのお断りとなりますが、彼らには既存の制度にとらわれることなく大胆な発想で政策立案をするようお願いしてありますのでご理解願います。
 彼らは選挙に興味を持ってもらうための政策として、①子どもに興味を持ってもらうための「子ども投票箱」の設置、②大人に興味を持ってもらうための「選挙棄権税」の導入という2つの政策を立案しました。
 「子ども投票箱」は投票所に子ども用の投票箱を設置し、そこに欲しいお菓子やおもちゃが書かれた用紙を投票すると、希望した商品がもらえるというものです。子どもの時から投票所に行くことに加え、模擬投票も体験できるという仕掛けです。もちろん、お菓子やおもちゃで興味を引く年齢は限られていますので、それ以降は現在行われている中学・高校生の模擬投票授業につなげていくことを考えています。
 一方、「選挙棄権税」は諸外国で行われている棄権者に対する罰金制度と最近民間団体が運動をしている「センキョ割」(投票済証を持参することで商品の値引きやおまけがついてくる)を組み合わせたものです。例えば、棄権者は一律100円を「選挙棄権税」として納め、それを原資に投票率上位3県の投票者に「地元特産品」として還元するというものです。計算を簡単にするため投票率が50%、人口が一律という前提を置くと、還元は100円×47都道府県/上位3県で約1500円相当の賞品が配布される計算となります。都道府県別で投票率を競う形となり、選挙に対する関心の高まりが期待できる、また地元特産品の購入により産業活性化にもつながるという考えです。
 新たな税の導入については国民的な議論が必要でしょう。しかし、学生達が真剣に考えるこの問題について、私たちこそ真摯に向き合わなければならないと思います。次の愛知県議会議員選挙から実施される選挙公報や選挙運動用ビラをしっかり活用し、有権者のみなさまに関心を持っていただけるよう努めるとともに、本県としても投票率の向上に向け、さらなる取組を望みたいと思います。
 平成28年7月施行の参議院議員選挙では選挙権年齢の引き下げが大きな話題となりましたが、他にも投票環境の整備が可能となりました。その中で「選挙当日における投票区外投票」、「投票所への子供の同伴」に関連した取組について触れたいと思います。
 青森県平川市は、選挙当日の指定された投票所とは別にいずれの投票区の選挙人も投票することができる「共通投票所」を「イオンタウン平賀店」に設置しました。全国で4自治体しか実施されなかった取組です。
 青森県は平成25年参議院議員選挙、平成26年衆議院議員選挙の投票率が連続して全国最下位、その中にあって県内40市町村中の30位前後という低位に位置していた平川市では投票率改善に向け、商業施設など頻繁に人の往来がある施設に期日前投票所を設置することを検討していました。そこへ青森県選挙管理委員会を通じて「イオンタウン平賀店」の照会があり、準備にあたっていたところ、法改正が重なり共通投票所の設置に踏み切ったそうです。
 平川市は平成18年に2町1村が合併して誕生した市で、従来から期日前投票所がかつての自治体ごとに1箇所、計3箇所あり、二重投票防止のためのオンラインシステムをすでに保有していました。そこで既存のシステムをベースに23か所ある指定投票所と無線の専用通信回線を設け、二重投票防止に努めたそうです。もちろん、高速かつ大容量通信で市内全域をカバー、インターネットを経由しない閉域ネットワーク、通信状況のモニター監視や不正アクセスの兆候を察知できるような監視体制等、国の技術的基準及び市の情報セキュリティーポリシーに抵触しないことを十分に確認し、加えて費用面での市の持ち出しはなかったそうです。
 取組の結果、投票率は56.02%で平成25年参議院議員選挙と比べ10.67ポイント上昇。また、18歳の投票率は県内10市のうち2番目、19歳投票率は1番となりました。
 注目の共通投票所利用者は1,705人で当日投票者数に占める割合は17.16%、また、「イオンタウン平賀店」での投票者数は期日前投票者数を含めると4,483人で、投票者数全体の28.86%となり、投票率向上に大きく寄与しました。
 私もイオンタウン平賀店に立ち寄ってみたところ、市内中央部にあり立地条件に恵まれている、主要バイパスが交差する位置にあり車でのアクセスが便利、十分な駐車場スペースとバリアフリー化されている施設である、入口から入ってすぐのスペースに投票所が設けられた等、多くの方が利用しやすい環境にあったことがわかりました。
 実際、市民の方からは、買い物ついでに投票でき便利、子どもと一緒に気軽に参加できる、投票受付が混雑していても、買い物など用事を済ませてから投票に行くことができる等、前向きな声が非常に多かったそうです。
 なお、これ以降で施行された平成29年衆議院議員選挙、平成30年平川市長選挙におけるイオンタウン平賀店投票所の利用率はそれぞれ32.67%、35.33%と、今では3人に1人以上が利用しています。
 一方、青森県選挙管理委員会でも投票率向上に向けた取組を積極的に行っています。
 主には高校生を対象とした模擬投票を含む選挙出前トークの実施、大学生による投票率向上サポーター、SNSを中心とした情報発信等、本県同様の学生向けの取組が中心ですが、内容が非常に充実していると感じました。また、少し視点を変えた取組「親子向けの模擬投票体験イベント」も行っていましたのでここで紹介したいと思います。
 このイベントは、学生以外の若年層への啓発および未来の有権者である子どもの主権者意識の醸成が必要との考えから実施したそうです。当日は県内のゆるキャラ5体を候補者と見立てた模擬投票を中心に、選挙の仕組みをわかりやすく記載したパネル展示やラジオの公開生放送とタイアップして若者の投票率低下についての解説を実施したそうです。
 結果は小さな子供連れの家族を中心に大盛況となり、アンケートでは「(親が)初めての投票体験だったが意外に簡単だった」、「子どもにとってとても良い経験になると感じた」「投票の大切さを知った」等々の声が多数あり、非常に好感触を得たそうです。また、県内の十和田市とおいらせ町では平成28年参議院選挙の期日前投票所にキッズコーナーを全国で初めて設けるといった取組も実施されています。
 総務省が実施した「18歳選挙権に関する意識調査」では子どもの頃に親がいく投票についていったことが「ある」人の方が「ない」人より20ポイント以上、親と一緒に住んでいる人の方が住んでいない人より約30ポイント投票した割合が高くなるという結果となり、親の投票行動が子どもに与える影響は非常に大きいことが伺えます。
 以上、投票率向上に向けた取組について様々申し上げました。そこで、3点伺います。

 1点目に、平成28年施行の第24回参議院議員通常選挙および平成29年施行の第48回衆議院議員総選挙における啓発活動について伺います。また、18歳、19歳有権者の投票についての結果と評価を伺います。
 2点目に、商業施設を利用した共通投票所や期日前投票所の取組について伺います。青森県では平成29年衆議院議員選挙において共通投票所を1か所設置し、また、県内101箇所の期日前投票所のうち8か所を商業施設に設置しています。本県の商業施設を利用した共通投票所および期日前投票所の状況はどのようになっているのでしょうか。また、来年は愛知県知事選挙、統一地方選挙、第25回参議院議員通常選挙といった大変重要な選挙を控えておりますが、商業施設へ共通投票所や期日前投票所を設置する環境整備を行う考えはあるのか伺います。
 3点目に、中・長期的な視点から親子投票を促す取り組みが大切であると考えますが、お考えを伺います。

 最後に保安林の管理について伺います。
 先月、安全・安心対策特別委員会にて、平成29年7月九州北部豪雨における被災および復旧・復興状況を調査するため、福岡県朝倉市を訪問しました。平成29年7月5日、福岡県朝倉市を中心としたエリアにおいて線状降水帯が形成・維持され、わずか9時間で774mmという記録的豪雨を観測、市内で土砂崩れ約450箇所、発生土砂約1,000万㎥、流木約21万㎥が流出し、死者32名、行方不明2名、災害関連死1名、負傷者16名、また被害額は1,941億円(これは福岡県全体の数字ですが、ほとんどは朝倉市と言われています)という未曽有の災害となりました。
 発災から1年4か月たった現在もなお、市内のあらゆる場所で被害の爪痕ははっきり残っておりました。案内された被災現場に降り立つと、市の職員の方から「みなさんの足元は発災前と比べ10メートルもの土砂が堆積しています」との説明を受けました。もとの地形はどんなものだったのか…全く想像することもできず、私はただただ「自然との共生」に答えはあるのか、茫然としてしまいました。
 そんななか、ふと周りを見渡すと崩落した斜面からは根の浅い杉の木が大量に生い茂っている様子を見ることができました。今回の災害は500年に1度の雨が短時間に降り、森林の貯水能力をはるかに超えて起きたと言われています。仮に森林の管理が行き届いていたからといって防げたものではないと思いますが、被害を少しでも軽減するために、やはり日頃の管理が大切であると考えます。
 そこで、今回は森林の中でも重要な役割を果たしている保安林の管理について伺いたいと思います。保安林は、水源の涵養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等、特定の公益目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林です。保安林は、その指定の目的により17種類、延べ約1200万ヘクタール、そのうち本県では10種類、約7万ヘクタールあり、それぞれの目的に沿った森林の機能を確保するため、伐採や開発の管理等が規制され、その管理の一翼を都道府県が担っています。
 保安林の管理状況について、昨年総務省行政評価局が17の都道府県を抽出して調べた結果、合わせて47か所およそ350ヘクタールで間伐などが適切に行われていないことがわかりました。中にはおよそ10年にわたって保安林が管理されずに放置され、木や植物が十分に育たず、地盤が保水力を失って土砂災害の危険性が高まっている地域も確認されたということです。
 原因としては、管理の重要性について所有者の理解が得られなかったり所有者が死亡したあと相続人を把握できず適切に指導できていなかったりするケースが多いということです。
 そこで、本県における保安林の管理状況について伺います。

 1点目に、本県が管理する保安林のうち民有林はどれくらいあるのか、また、保安林の森林所有者の把握をどのように行っているのか伺います。
 2点目に、森林所有者が自身の森林を「保安林である」と認識して頂くことが、適正な管理を進めるうえで有効になると考えます。県としての取組について伺います。
 3点目に、保安林の公益的機能を発揮させるため、県として今後どのように取り組んでいくのか伺います。

 以上で壇上からの質問を終了します。ご清聴ありがとうございました。

《答弁要旨》

1 治療と仕事の両立支援について

「治療と仕事の両立支援フォーラム」および啓発資料について

(労政局長)
 企業にとって両立支援の取組は、従業員の健康確保とともに、継続的な人材の確保、従業員の安心感やモチベーションの向上による人材の定着・生産性の向上などの大きなメリットがあります。
 今年度開催する治療と仕事の両立支援フォーラムでは、両立支援への取組が不十分であったり、これから対応を進めようとする、主に中小企業の人事労務担当者などを対象にして、名古屋市、刈谷市、豊橋市の県内3か所において、合わせて220名の定員で開催いたします。
 内容としては、最初に、両立支援の背景や意義などについて、この分野の専門家から基調講演をいただきます。その上で、企業が知りたいことのトップが「労働者への配慮方法」であることから、第2部のパネルディスカッションでは、これをテーマに、実際に従業員の両立支援に取り組んだ事業所と、両立を経験された労働者の双方から事例をご紹介いただく予定としております。
 次に、啓発資料につきましては、両立支援の意義や取組の基本姿勢を出来る限り企業の担当者に分かりやすく伝える内容とし、あわせて国のガイドラインの概要や支援メニュー、企業向け・労働者向けの相談先一覧などを掲載してまいります。作成部数は5千部で、ホームページからもダウンロードできるようにし、多くの企業に手引書としてご活用いただけるようにしてまいります。

企業が具体的に取組を進める際のサポート施策について

(労政局長)
 治療と仕事の両立支援にあたっては、支援の対象となる方々によって個人差があるため、個別事例の特性に応じた配慮、支援が必要となります。
 このため、国のガイドラインでは、企業と医療機関が情報のやりとりを行う際に参考となるヒアリング調査の作成方法やポイントなどをマニュアル化して示しています。また、愛知産業保健総合支援センターでは、企業と対象となる方の間の調整を行い、就業上の措置などの助言・支援を行っています。
 県といたしましては、こうした情報やサポートのメニューを企業に活用していただくことが重要と考えており、フォーラムや労働講座など様々な機会をとらえて、しっかり周知してまいります。
 あわせて、企業が取組を進める際に、他社の事例を参考として、個々の事情に当てはめた取組を進めることが有効であると考えられますので、今後、多様な場面での対応事例を盛り込んだ事例集の作成に向けて検討を進めてまいります。

民間の関係団体の活動と連携について

(労政局長)
 企業が、個々の事情やニーズに応じたきめ細かな両立支援を進めていく上では、行政のみならず、医療関係者、人事労務のコンサルタント、あるいはNPOなど、さまざまな民間の関係団体の力を借りていくことが必要であり、行政としては、それらの協力関係を形づくっていくことが求められます。
 このため、昨年7月に、愛知労働局が事務局となり、本県を含む、地域の関係機関がネットワークを構築する「あいち地域治療と仕事の両立支援推進チーム」が設置され、愛知県社会保険労務士会や特定非営利活動法人日本キャリア開発協会を始めとする幅広い民間の関係団体の参加のもと、情報を共有しながら、両立支援の取組を進める活動を展開しているところであります。
 また、本県におきましても「治療と仕事の両立支援フォーラム」の開催にあたって、豊富な支援活動を行っている「一般社団法人仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジ」に講演及びパネリストを依頼するなど、民間の関係団体と連携をとって施策を進めております。
 いずれにいたしましても、両立支援の施策を効果的に進めていくためには、それぞれの現場において、適切な場面で、専門的に活動している民間の関係団体との協力が重要でありますので、今後とも、しっかりと連携を図ってまいりたいと考えております。

健康経営について

(保健医療局長)
 本県では、従業員の健康を重要な経営資源と捉え、企業全体で積極的に従業員の健康増進を目指す「健康経営」の普及促進を効果的に推進するため、本年7月に、愛知県と医療保険者、経営者団体など7団体で相互連携に関する協定を締結し、取組を進めているところでございます。
 また、庁内の関係部局及び経営者団体等で構成する「愛知県健康経営促進検討会議」をこれまでに2回開催し、今後の取組等について、検討を行ってまいりました。今年度の具体的な取組といたしましては、健康経営に取り組もうと考えている企業を支援するため、取組の好事例を紹介したり、健康づくりに関する様々な情報を分かりやすく紹介するポータルサイト「あいち健康経営ネット」の構築を進めており、先月、一部公開したところであります。
 同じく先月には、健康経営に積極的に取り組んでいる企業を「愛知県健康経営推進企業」として登録する制度も創設し、順次、「あいち健康経営ネット」にその取組内容等を紹介してまいります。さらに、登録企業のうち、特に優れた取組を行っている企業を「あいち健康経営アワード」として表彰する制度も創設し、現在、表彰企業の募集を行っているところでございます。
 県といたしましては、こうした取組を通じて、健康経営に取り組む企業の増加を図り、生涯を通じて健康で生き生きと過ごすことができる「健康長寿あいち」の実現を目指してまいります。

2 投票率向上に向けた取組について

若年層への啓発および18歳、19歳有権者の投票についての結果と評価

(選挙管理委員会委員長)
 選挙管理委員会では、これまでも若年層を対象とした啓発に重点を置いて取り組んでまいりましたが、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて以降、より一層、若年層向けの啓発に力を入れて取り組んでおります。
 平成28年の第24回参議院議員通常選挙、平成29年の第48回衆議院議員総選挙では、若年層への投票の呼びかけを効果的に行うため、若年層に発信力のあるタレントをモデルに起用した啓発ポスターを、県内の高等学校、大学等、若年層が目に触れる機会の多い場所に掲出いたしました。
 また、インターネット広告での啓発動画の配信や、SNSによる情報発信など、若年層の多くが利用し、波及効果の高い媒体を積極的に活用したところでございます。
 18歳、19歳の投票結果につきましては、第24回参議院議員通常選挙における全国の18歳、19歳の投票率は46.78%でございましたが、本県は53.77%と全国を大きく上まわり、東京都、神奈川県に次いで、全国で3番目に高い結果となっております。
 また、第48回衆議院議員総選挙における全国の18歳、19歳の投票率は40.49%でございましたが、本県は46.79%と、こちらも全国を大きく上まわり、山形県に次いで、全国で2番目に高い結果となっております。
 本県の18歳、19歳が他の都道府県と比較して高い投票率となりましたのは、若年層に対する投票の呼びかけを重点的に行った成果であると考えておりますが、こうした選挙時の啓発に加え、小中学校、高校で模擬投票を行う「選挙出前トーク」や、大学の授業やゼミで選挙をテーマに学生と議論する「大学連携」といった日頃の啓発の取組による効果も高いものと考えております。
 選挙管理委員会としましては、若年層の政治や選挙に関する意識や関心を高め、進んで投票していただけるよう、引き続き選挙啓発に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

商業施設を利用した共通投票所及び期日前投票所の状況と今後の環境整備について

(選挙管理委員会委員長)
 投票日当日に決められた投票所以外の投票所でも、その市区町村内の有権者が投票することができる共通投票所については、第48回衆議院議員総選挙では、全国で4市町、7か所で設置をされておりますが、二重投票防止のための対策が必要であり、また、費用面等での課題もあることから、県内では設置されませんでした。
 なお、来年2月3日執行予定の愛知県知事選挙において、豊田市は、県内で初めて、商業施設に共通投票所を設置する予定としております。
 次に、昨年の衆議院議員総選挙で設置された県内139か所の期日前投票所のうち、商業施設を利用した期日前投票所は3か所でございましたが、来年の愛知県知事選挙からは、常滑市や、稲沢市において、新たに商業施設への設置が予定されているところでございます。
 各種選挙の投票率が長期的にみて低落傾向にある中、投票率を向上させるためにも、有権者の皆様が投票しやすい環境を整備することが重要であり、商業施設を利用した共通投票所や、期日前投票所の設置は有効な取組でございます。
 選挙管理委員会としましては、こうした取組が促進されるよう、市区町村の選挙管理委員会に対して、先行事例の情報提供を行うとともに、設置を検討している団体に対して、取組が推進されるよう、必要な助言を積極的に行ってまいります。

親子投票を促す取り組みについて

(選挙管理委員会委員長)
 親が投票に行く姿を子どもに見せることは、子どもの頃から投票を習慣化させる動機づけとなるとともに、実際に投票所に行った子どもが、その体験を学校や家庭で話題とすることにつながり、その後の投票を促す効果も期待されるところでございます。
 こうしたことから、平成28年4月に公職選挙法が改正され、投票所に入ることができる子どもの範囲について、それまでの幼児から、児童、生徒その他の18歳未満の者に、対象が拡大されたところでございます。
 親子投票については、議員御指摘のとおり、将来に向けた啓発として高い効果が期待できることから、選挙管理委員会としましては、投票所を設置する市区町村の選挙管理委員会に対して、制度の適切な運用について周知するとともに、総務省が作成した啓発ちらしを配布するなどして、有権者の皆様に周知を図ってきたところでございます。
今後とも、親子投票が促されるよう、引き続き市区町村の選挙管理委員会と連携し、制度の周知を図ってまいります。

3 保安林の管理について

県が管理する保安林のうちの民有林の割合と所有者の把握について

(農林基盤局長)
 平成29年3月末現在、本県の保安林面積は約6万9千ヘクタールあり、このうち民有林は約5万9千ヘクタールあります。
 次に、本県において保安林に指定されている森林の、所有者の把握をどのように行っているのかについてでございます。
 保安林については、本県では森林所有者の氏名、住所を始め、保安林の指定年月日や指定の目的などを記載した「保安林台帳」を、地番ごとに作成しており、民有林に係る保安林台帳は約6万8千件でございます。
 この「保安林台帳」を更新するために、土地登記簿をもとに、保安林が所在する土地の地番の分筆や合筆について、4年で一巡するよう確認しており、その際に所有者の異動についても台帳に反映しているところでございます。

保安林の適正管理を進める上での取組状況について

(農林基盤局長)
 森林法の規定に基づき、森林を保安林として指定する際や、保安林において定められた間伐できる割合の上限が変更された際には、県は森林所有者に対して、その内容を通知することとされております。
 また、森林所有者から保安林に関する相談が市町村にあった場合には、県の相談窓口をご案内いただくよう、市町村と連携しております。
 県では、所有する森林が保安林であるか否かの確認や、保安林において伐採や開発行為を行う際に必要となる手続き等に関する相談を、本庁や農林水産事務所で随時受け付けております。また、この相談窓口の連絡先等につきましては県のホームページに掲載しております。
 なお、平成29年度における県への相談件数は約3千件でございます。

保安林の公益的機能を発揮させるための今後の取組について

(農林基盤局長)
 自然災害により山地崩壊が発生し、国の補助事業である治山事業により、谷止工や土留工などの防災施設の設置を行う際には、保安林の指定が必須条件となります。
先の台風24号により、豊根村富山地内の県道上部の保安林で発生した山腹崩壊については、国の災害関連緊急治山事業により早急に復旧工事を着手できるよう、手続きを進めているところでございます。
 また、東栄町足込地内の民家の裏山で発生した山腹崩壊では、保安林に指定されていない森林が崩壊したことから、保安林指定の事務と並行して、国の事業採択に向けた復旧事業計画を作成しているところでございます。
 こうした復旧事業に加え、山地災害を未然に防ぐため、今年度から新たに航空レーザ計測を実施し、そのデータを解析して得られた詳細な地形情報をもとに、山腹の亀裂や過去の崩壊地、渓流に堆積した土砂、落石の発生源などの危険箇所を抽出し、この成果をもとに、山腹崩壊などの恐れのある箇所については、保安林に指定し、予防的に治山施設を設置する取組を進めてまいります。
 今後も、県民の皆様の安全・安心が確保されるよう、保安林の公益的機能の向上に取り組んでまいります。

《要望事項》

 それぞれご答弁頂きありがとうございました。要望をさせていただきます。
 始めに治療と仕事の両立支援策について、先に述べたブリッジの方や社会保険労務士の方から「企業はメンタルヘルスには関心があるが治療と仕事の両立に関しての関心はまだ薄いように感じる」、「両立支援の制度を取り入れたいがどこに相談していいかわからないという声をよく聞く」といったご意見を、また、医療従事者からは再就職を目指す患者さんから「再就職先の職場ががん患者への理解があるか不安である、履歴書にがん罹患と書くことができないという悩みを聞く」との声を頂きました。関心のない企業にどう関心を持ってもらうかも含め、県の支援策についての周知がとても重要でありますので、積極的な発信に努めていただきますようお願いします。
 また、具体的な事例があると企業としても参考になると思います。その際、できるだけ様々な業態や会社規模の事例があるとより望まれると思いますし、特に中小企業のみなさまに参考となる事例を多数取り上げていただくよう要望します。
 次に投票率向上に向けた取組について、投票所の設置は各市町村の判断になりますが、課題解決に向けては、ご答弁いただきました情報提供や先進事例の紹介に加え、商業施設との賃料交渉等も県に積極的に関わっていただきたいと思います。また、親子投票に関する取組を始め、さらに充実した啓発活動をお願いします。
 最後に保安林の管理について、今回このテーマを取り上げるきっかけとなったのは、私が伺った「50年前に購入した山林が保安林であったことを先日、初めて知った」という地域の方からのご意見でした。どのような経緯でこのような事態が生じたかは別として、自身が所有する山林を保安林と把握されていないケースは少なくないと考えます。ぜひ、所有者の把握および所有者への理解促進に積極的に努めていただきますよう要望して発言を閉じます。