子どもが輝く未来基金について伺う。
10月に入り、ようやく暑さも一段落の気配が漂い始めている。それにしても、今年は本当に暑い夏だった。そんな暑さの中、何を飲みたくなるか。私は、冷たく爽やかな刺激を求め、レモネードが欲しくなる。
さて、レモネードスタンドという活動を知っているか。レモネードの販売を通じて子供たちを助ける寄附金を集める活動である。
2000年、アメリカに住む4歳の少女が自宅の庭先でレモネードスタンドを始めた。小児がんを患い、治療中であった彼女は、がんにかかった子供たちの治療薬の研究が進むようにと、レモネードを売って、そのお金を病院に寄附したいと、自らスタンドを開いた。すると、近所の人たちが少女の夢を応援しようと、レモネードを買い求め、初日から大盛況となる。そして、少女の起こした奇跡はメディアでも取り上げられ、その活動は各地へと広がっていった。
この活動は今、日本にも広がっている。この夏、某コンビニエンスストアで販売されたレモネードキャンペーンでは、売上げの一部が小児がん患者の支援に活用された。また、今週日曜日に愛知県医療療育総合センターで開催されたふれあいフェスティバルの中にも、レモネードスタンドのブースがあった。多くの人の気持ちから福祉の輪が広がることは大変すばらしいことであると思う。
本県では、県民の皆様からの寄附の受け皿として、子どもが輝く未来基金を設立しているが、まさに県民と共に福祉の輪を広げていくための有効な取組の一つであると考える。
そこで、子どもが輝く未来基金について数点質問する。
初めに、子どもが輝く未来基金がどのような経緯で設置され、どのような取組に活用されているのか伺う。
【児童家庭課担当課長】
子どもが輝く未来基金は、県民から、児童養護施設で生活している子供たちの大学進学に役立ててほしいという意向で受けた寄附をきっかけに、こうした善意の輪を広げ、地域や民間団体の人々と力を合わせて、社会全体で子供の支援に取り組むことが重要であると考え、県民からの寄附の受け皿として、2019年3月に設置した。
この基金は、子供たちが生まれ育った環境、特に経済環境に左右されることなく、夢と希望を持って未来にチャレンジできる社会を実現することを目指すものであり、設置のきっかけとなった寄附者の意向を踏まえ、大学等へ進学する際の入学準備金をはじめとする、児童養護施設入所児童等の自立支援のほか、子供の貧困対策の一環として、食事の提供や地域の人々との交流を通じ、子供たちが安心して過ごすことができる居場所となる子ども食堂への支援に活用している。
この基金の設置以降、これまでにどれくらいの寄附が寄せられているのか。また、基金を活用した実績についても伺う。
【児童家庭課担当課長】
子どもが輝く未来基金には、多くの県民や民間企業、団体など、様々な人からの寄附があり、基金設置後から2024年度末までのおよそ6年間で616件、1億6,500万円を超える寄附を受けている。
次に、基金の活用実績としては、基金事業を開始した2019年度から2024年度末までに、児童養護施設入所児童等の自立支援に335件、約2,700万円、子ども食堂への支援に634件、約3,600万円を活用している。
この基金の事業については、今年度から新たに支援項目を追加したと認識している。どのような理由で、どのような取組を追加したのか。
【児童家庭課担当課長】
児童養護施設入所児童等の自立支援では、就職に直接役立つ資格の取得を支援するため、新たに運転免許取得費用の一部を支給するとともに、退所後の継続的な支援につなげるため、入所していた施設の職員が対面で面談を実施し、自立に向けた相談支援を行った上で給付金を支給する取組を開始した。
また、子ども食堂への支援では、子ども食堂が地域で定着できるよう、5年以上活動を継続する子ども食堂を対象に、古くなった物品等の更新費用に対する助成を新たに創設するとともに、子供たちに様々な体験機会を提供するため、これまでの学習支援事業の助成対象を拡大し、新たにスポーツや文化、季節行事などの体験活動の実施に必要な経費についても対象に加えることとした。
なお、この新たな支援メニューについては、児童養護施設等を対象とした支援ニーズの調査のほか、子ども食堂の関係者や学識経験者、支援団体等が集まる会議で出された意見等を踏まえ、事業化を図っている。
この子どもが輝く未来基金の存在をより多くの人に知ってもらい、寄附を募ることが望ましいと思う。
そこで、この基金について、どのような広報啓発を行っているのか伺う。
【児童家庭課担当課長】
子どもが輝く未来基金の広報については、県のウェブページへの掲載をはじめ、県や市町村の窓口等に案内チラシを配置しているほか、多くの福祉関係者が参加する県の社会福祉大会においてもチラシを配布するなど、広く県民の目に届くよう努めている。
また、企業等との協働による普及啓発活動を推進するために、企業等が、子どもが輝く未来基金の名称を使用できる制度を設けており、例えば、金融機関が預金総額の一定割合を寄附する取組や、小売店がレシート金額の一部を寄附するキャンペーン、さらに飲料メーカーによる寄附型の自動販売機の設置など、寄附の裾野を広げ、県民が手軽に子供の福祉のための寄附に参加できる取組を実施している。
県民から多くの寄附が寄せられた際には、この基金の名前にもなっている、子供が輝く未来に資する取組をさらに広げていってもらいたい。
今後の方向性について、県の見解を伺う。
【児童家庭課担当課長】
現在、子どもが輝く未来基金を活用している児童養護施設入所児童等の自立支援や子ども食堂への支援については、2025年度から2029年度を計画期間とする新たなはぐみんプランの策定に合わせて、有識者や関係者からの意見を踏まえ、今年度から新たに四つの支援メニューを開始した。
今後については、こうした新たな支援メニューの活用状況や基金の安定的な運営を考慮しつつ、また、他制度による支援の充実なども注視しながら、基金設置の目的である、子供の貧困対策の充実のため、時期を捉えて検討していきたい。
要望する。この基金の今後の方向性について、今の質問で県の考えを確認できた。また、この基金の活用については、条例に子供の貧困対策の推進のための財源と明記されていることも承知している。
その一方で、全体の質問を通じて、子どもが輝く未来基金は、県民の尊い志の下で成り立つ事業であることを改めて確認した。この子供が輝く未来の実現に向け、貧困対策に加えて、様々な施策を展開する財源として、県民の善意に呼びかけることは、例えばだが、子供の難病に対する支援などは、こういった多くの県民の共感を得られるのではないかと思う。
いずれにしても、今後この基金がさらに多くの子供、子育て世代に活用されることを要望する。
続いて、先ほど平松利英委員からも保育士の確保について質問があったが、私も保育現場の支援の観点で質問する。
令和5年4月全ての子供や若者が将来にわたって幸せに暮らせる社会の実現を目指し、こども基本法が施行され、また、あわせて、子供施策の立案、実施を担う司令塔として、こども家庭庁も創設された。そして、こども家庭庁は令和6年12月、持続可能で質の高い保育を通じたこどもまんなか社会の実現に向け、保育政策の新たな方向性を示した。
こうした流れも含め、近年、保育現場を取り巻く環境については改善されつつあると感じている。しかしながら、現場で働く人々の声を聞くと、まだまだ道半ばである。
あいち民主県議団では、令和7年度当初予算の前に、保育士の人材確保に向けた取組強化を強く要望した。そして、当初予算では保育士の養成と処遇改善について、様々な新規事業や拡充事業が盛り込まれ、この点については大いに評価をしている。
そこで、その進捗状況を中心に伺う。
まず、保育士の養成の観点から、学生に対する保育士修学資金貸付事業について伺う。これは保育士資格の取得を目指して大学や専門学校に進学する学生に対し、学費として毎月5万円、入学時や就職時にそれぞれ20万円を上乗せして貸し付ける制度だが、この貸付枠が今年度から120人から200人に80人拡充するとされている。この貸付けの今年度の申込みと決定状況について伺う。
【子育て支援課担当課長】
今年度から貸付枠を200人に拡大した、指定保育士養成施設の学生に学費等を貸し付ける、保育士修学資金貸付けについては、173人から応募があり、全員に貸付決定を行った。残りの貸付枠については、申請受付窓口である養成施設への提出期限を先月末として再募集を行った。
また、この貸付けに加えて、今年度より新たに、今まで学費等の貸付けを受けていなかった学生に対し、最終学年時に就職準備金として20万円を貸し付ける事業を始めることとしており、今月中に募集を開始する予定である。
次に、保育士の処遇改善、特に保育士の負担軽減の観点から伺う。
今年度新たに保育士の配置を基準よりも充実する市町村に対して、必要な保育士の人件費を助成する保育士配置改善事業が実施されることとなっている。保育士を基準よりも手厚く配置することにより、保護者が安心して子供を預けられるとともに、保育士一人一人の負担軽減にもつながる大変重要な施策であり、活用を進めていく必要があると感じている。
そこで、新規事業である、この事業の進捗状況について伺う。
【子育て支援課担当課長】
保育士配置改善事業は、保育士の配置改善に係る国の加算措置を全て取得した上で、施設の実情に合わせて、さらに保育士の配置を充実させる場合に、その人件費を補助するものである。
このため、国の加算制度の内容等を反映する必要があり、8月下旬に発出された加算要件等に関する国の通知を踏まえ、9月上旬に本事業の補助要綱を制定したところであり、現在、実施主体である市町村において事業化の検討がされている。
本補助制度を積極的に活用してもらえるよう、昨年度末にも市町村説明会を実施したところだが、引き続き市町村への働きかけに努めていく。
次に、保育士の負担軽減として、従前より実施している事業について伺う。
保育に関して一定の知識、経験があり、保育士のサポートを行う保育補助者の雇い上げに必要な経費を助成する保育補助者雇上強化事業費補助金と、清掃業務等、保育には直接関わらないものの、その周辺業務等を行う保育支援者の雇い上げに必要な経費を助成する保育体制強化事業費補助金、この二つの事業があるが、過去3年間の市町村の活用状況の推移について伺う。
【子育て支援課担当課長】
保育士と共に子供の世話等を行う保育補助者雇上強化事業費補助金の過去3年間の推移だが、2022年度が19市町、108施設、255人、2023年度が24市町、129施設、325人、2024年度は27市町、157施設、383人となっている。
また、清掃や園外活動時の見守り等、保育の周辺業務を行う保育支援者の人件費等を助成する保育体制強化事業費補助金は、2022年度が26市町、454施設、821人、2023年度が29市町、623施設、924人、2024年度は33市町、696施設、1,030人となっている。いずれの補助事業も活用市町村数が年々増加しており、保育士の負担軽減に向けた取組が進んでいると考えている。
最後に、保育人材確保の観点とは異なるが、本県が進める保育関連事業の新たな取組として、多子世帯の経済的負担の軽減を図るため、第二子以降の3歳未満児の保育料無料化、または軽減する市町村に対し、経費を補助する第二子保育料無料化等事業費補助金が今月から始まる。
そこで、市町村の取組状況はどのようになっているのか伺う。
【子育て支援課担当課長】
10月からの本県の第二子保育料無料化等事業費補助金を活用するため、既に予算措置済みの市町村は、9月1日時点で31市町である。9月定例議会で予算議案を提出している市町村もあるので、さらに増加する可能性があるが、県内全域で実施できるよう、昨年10月に市町村説明会を実施し、今年も7月から8月にかけて地区別で開催した市町村担当者会議において、積極的に活用してもらうよう働きかけを行った。未実施の市町村に本補助制度の趣旨を理解してもらえるよう、引き続き市町村会議等の機会を活用しながら働きかけていく。
最後に要望する。
私が保育現場の人々との意見交換を通じて、いつも感じることは、保育士が勤務時間内に子供と接しない時間、いわゆるノンコンタクトタイムをいかに確保するかが重要である。勤務時間内に子供たちと離れて、事務作業などの業務を行う時間を確保することで、保育士の持ち帰りや残業が減り、労働環境の整備、改善につながる。
今回質問した保育士修学資金貸付事業、保育士配置改善事業、保育補助者雇上強化事業費補助金、保育体制強化事業費補助金は、このノンコンタクトタイムの確保に大変効果的な施策である。今後もより一層の拡充を願う。
あわせて、現場からのニーズが高い2職種の配置についても要望する。
一つは、子供の安全を守るための看護師である。乳児保育、感染症対策、医療的ケア児、先ほど医療的ケア児については補助があるとの答弁もあったが、病後の休養、けがや通院を必要とする子供への対応が、どの園でも実施できるように支援を望んでいる。
もう一つは調理員である。現在の運営に要する費用の算定では、利用定員40人以下に対して1人、41人以上150人以下に対して2人、151人以上に対し3人となっているが、アレルギー食や宗教食、多様な形態の離乳食への対応が求められる中、あまりにも心もとないというのが現場の切実な声である。
冒頭でこども家庭庁が公表した保育政策の新たな方向性の中には、保育提供体制の強化、保育の質の確保、向上、安全性の確保、多様なニーズに対応した保育の充実といった項目も記載されている。ぜひこうした観点からの国への働きかけと県独自の拡充を願う。