あいち民主、日比たけまさです。
通告に従い、大きく四項目について順次質問させていただきます。
一点目に、中小企業の人材確保支援について伺います。
今月十二日、福祉医療委員会の県外調査にて、北九州市にあるスマートライフケア共創工房を訪問し、介護業界における労働力不足解消を目的とした介護テクノロジーの開発、社会実装に向けた取組について説明を受けました。
その際、働き手不足一千百万人の衝撃という書籍を紹介されました。一千百万人という数字は、リクルートワークス研究所が二〇二三年に算出した、二〇四〇年における日本全体の働き手不足の数字でありますが、調査中、この一千百万人という数字の持つインパクトが頭から離れませんでした。
特に、中小企業においては深刻な状況となっています。中小企業の人材不足は、主に採用力の弱さと、育成体制の不備に起因する中、課題解決の一つの有効な手段が、奨学金返済支援制度の導入です。多くの若者が抱える奨学金という経済的負担を企業が支援することで、採用競争力の強化、定着率の向上、企業のブランド価値向上といった効果が期待できるなど、単に金銭的な援助にとどまらず、企業の魅力を高め、人材不足という構造的な問題にアプローチする戦略的な解決策となり得るのです。
ここで、兵庫県の兵庫型奨学金返済支援制度を紹介します。
兵庫県では、平成二十八年度、県内に本社があり、三十歳未満の正社員に対し奨学金返済負担制度を有している中小企業を対象に、三年間、企業が従業員に支給した額の二分の一、最大六万円を補助、企業、県、従業員が三分の一ずつ負担する制度を創設しました。そこから、平成三十年度に補助期間を三年から五年に延長、さらに、令和五年度には、従業員の返済額を県が負担、すなわち企業が三分の一、県が三分の二負担に拡充、そして、令和六年度から対象年齢を三十歳未満から四十歳未満、補助期間を五年から最大十七年へと大幅に拡充しました。
期間延長についてもう少し説明します。
ベースは五年で、そこからSDGs、女性活躍、ワーク・ライフ・バランスの三項目に対する企業の取組状況によって、十年、十七年と期間が延長されます。この三項目は、近年の就職希望者が重視する項目となっていますので、企業は、人材募集の面で優位に立つことができ、かつ、県の支援も長期に受けられるといった相乗効果を得ることが可能となります。
労働者福祉中央協議会の調査によると、奨学金の平均借入額の総額は三百十万円、平均返済額は月一万五千円で、年間十八万円、この金額で返済し続ける場合、十七年間かかります。
兵庫県は、こうした実態を基に制度を設計しました。つまり、この場合に、従業員の返済額である年十八万円を、企業が六万円、県が十二万円負担することで、本人負担はゼロとなります。そして、十七年間の支援継続により、本人は負担することなく借りたお金を返済できるのです。加えて、市町村が保有する奨学金返済支援制度との併用も可能なため、企業、従業員ともさらなる支援を受けられる場合もあります。
本年四月一日時点の制度導入企業数は三百六十三社、対前年同期比三三・〇%増、申請者数は千二百五十五人、対前年同期比四九・九%増で、令和十年度末には一千社、三千人の利用を目指しているそうです。
実際、利用企業からの声では、人材確保・定着への効果として、応募者が増えるなど若手人材の確保に効果があった、早期離職者が減るなど、若手人材の定着に効果があったと六割が回答、また、従業員からの声では、企業における奨学金返済支援制度の有無について、約五割が重視したと答え、制度利用で生活の負担感はどの程度軽減されたかについては、大いに軽減していると答えた割合が五割を超えるなど、大変高い評価を得ています。
本県は、中小企業による若手社員への奨学金返済支援を後押しする目的で、昨年度、愛知県中小企業人材確保奨学金返還支援事業補助金を導入しました。制度導入に関しては大いに評価するところですが、補助対象となる期間が限定的であり、支援額も十分とは言えません。本県の制度をより効果的なものにするため、補助期間の延長、制度の周知徹底を図るべきであると考えます。
そこで、現在の愛知県中小企業人材確保奨学金返還支援事業補助金の利用状況について、県としてどのように認識しているのか、お伺いします。
また、今後、さらなる制度利用を図るため、県としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。
次に、UIJターンへの取組について伺います。
本県では、中小企業をはじめとする県内企業の人材確保支援策の一つとして、首都圏等、県外からUIJターン促進を目的に、二〇一七年度より、あいちUIJターン支援センター──以下、UIJセンター──を名古屋と東京に設置し、東京拠点は、新宿駅西口から徒歩五分の場所に事務所を構えています。ここでは、UIJターン希望者に対して、県内企業の求人情報の提供や個別相談等の就労支援を行うとともに、移住支援金の紹介も行っています。なお、日曜日は休みとなっています。
一方、具体的な移住、定住の相談窓口は、愛に行こう!あいち移住・定住相談センター──以下、移住・定住センター──となります。こちらは、二〇二一年度に開設した窓口で、有楽町駅の隣にあるふるさと回帰支援センター・東京内にあります。四十四都道府県一政令市が専属相談員を配置していることから、移住、定住に関する全国の情報をほぼワンストップで入手できる非常に便利な窓口となっています。なお、移住・定住センターは、月曜日と木曜日が休日となっています。
さて、UIJターン希望者にとっては、職と住まい、この二つはセットで知りたい情報、相談したい内容です。しかし、本県の窓口は、新宿と有楽町という場所に加え、休日も異なるため、利用者は、一時間弱の移動時間と日程の調整が必要となります。
両施設では、来訪者に対して互いの窓口を伝えるとともに、情報の共有を図っていると伺いました。しかし、隣同士に窓口を設けることができれば、こうした手間も省けます。
また、UIJセンターは本県のみの施設である一方、移住・定住センターは全国の情報を求め、幅広い方が訪問する施設であることから、より多くの希望者を取り込む可能性を秘めています。
私は、移住・定住希望者に対する本県のアドバンテージは、安定した雇用にあると考えており、異なる場所に窓口を構えることは、そのセールスポイントを自ら捨てていると感じます。新宿という大変利便性のいい場所に本県単独で事務所を構えるということは、賃料もかさむでしょう。であれば、有楽町に拠点を集約化し、生み出した費用削減分でほかの取組を充実させるべきではないでしょうか。
例えば、本県が就職支援協定を締結している大学数二十四に対し、福岡県では七十八大学と締結しており、より多くの学生に情報発信ができていると考えます。
そこで、首都圏等からのUIJターン促進について、県のこれまでの取組実績と今後の方向性についてお伺いします。
二点目に、カーボンニュートラルの実現に向けた住宅分野の取組について伺います。
私は、二〇二二年二月定例会の議案質疑で、住生活基本計画における住宅分野でのカーボンニュートラル実現に向けた取組について伺い、建築局長から、二〇〇九年度の制度創設以来、継続して本県が全国一位の認定実績である長期優良住宅の一層の普及を図る計画とする、あわせて、住宅の新築や改築における留意点を解説した指針を取りまとめ、県民の皆様の意識を高めていくとの答弁を得ました。
その後、二〇二二年十二月に公表されたあいち地球温暖化防止戦略二〇三〇改定版では、二〇三〇年度温室効果ガス排出量削減目標達成のため、家庭部門で二〇一三年度比、七七・六%削減という大変意欲的な目標値を掲げられました。我が国のエネルギー消費量の約三割を建築分野が占めると言われる中、目標達成に向けては、環境に配慮した住宅の普及促進が大きな鍵を握ると考えます。
こうした中、本年四月、改正建築物省エネ法施行に伴い、省エネ適合義務の対象が拡大され、四月一日以降に工事に着手する全ての建築物を新築、増改築する際、省エネ基準への適合が義務づけられました。国では、今後も二〇三〇年、二〇五〇年を見据え、脱炭素社会の実現に向けた住宅、建築物におけるハード・ソフト両面の取組と施策を展開する予定です。
ここで、省エネ・再エネ住宅普及を積極的に推進する東京都の取組を紹介します。
令和元年に創設した東京ゼロエミ住宅制度では、新築住宅を対象に、断熱性能と設備の省エネ制度について、その性能に応じて三つの水準に分類し、助成金を支給、さらに、本年四月より、大手ハウスメーカーを対象に、新築住宅への太陽光パネル設置を義務化しました。
また、既存住宅に対しても、高断熱化と機器の高効率化を強く推し進めており、本年三月に公表したゼロエミッション東京戦略Beyondカーボンハーフでは、三十一の個別目標を立てる中、断熱改修三百八十五万戸、高効率給湯器四百五十四万台というとてつもない数値目標を掲げ、住まい展に合わせた情報発信や、省エネ点検・診断キャンペーンの展開、専門家による伴走型支援、断熱改修・省エネ設備等の助成拡充に取り組むことが明記されています。
こうした施策を進める上で重要となるのが、民間団体との協力体制です。都では、令和四年六月に住宅関係団体と連携して、東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを立ち上げました。現在は、住宅事業、リフォーム事業、地域工務店、省エネ・再エネ設備、不動産、建築士など五十四団体が参加しています。主な活動として、全団体参加の連絡協議会を年四回程度開催し、都の施策や補助金制度、各団体の活動などの情報を共有するとともに、テーマごとに希望団体が参加する分科会を年に六回程度開催し、課題の共有や団体同士の連携強化を図っています。
また、会員団体が行う省エネ・再エネ住宅普及促進相談窓口設置、技術力向上に要する費用の三分の二、上限三百五十万円を補助する制度も設けています。これらを通じて、各団体の声が都の施策に反映され、双方向型の組織が構築されているのです。
担当部署に話を伺うと、省エネ・再エネ住宅の普及促進には、都民一人一人の理解が極めて重要であることから、団体を通じて都が行うあらゆる施策の浸透を目指しているとのことで、プラットフォーム設立によって団体間の連携が強化され、また、普及啓発イベントの参加者数が増えるなど、徐々に成果も見え始めているとのことでした。その一方、市町村の参画や団体の先にある企業との連携など、課題もまだあるそうです。
私自身、地元で省エネ住宅に力を入れている建築士の方の御自宅に伺い、家の造りの違いによる暑さ、寒さといった体感の違いと、具体的な光熱費の差に驚かされた経験があります。本県が掲げる意欲的な目標を達成するためには、省エネ・再エネ住宅に関心の高い民間の協力が不可欠であると考えます。
そこで、愛知県住生活基本計画二〇三〇に掲げるカーボンニュートラルの実現に向けた住まいの質の向上に関し、主な施策の取組状況について、課題を含め、どのように認識しているのか、お伺いします。
また、さらなる促進に向け、効果的な施策の実施や具体的な目標値の設定が必要であると考えますが、今後の取組について伺います。
三点目に、県立高校の魅力化について伺います。
私は、二〇二一年十一月定例会の代表質問にて、県立高校の魅力化について質問し、大村知事は答弁の中で、中学校の卒業者数は、二〇二六年度以降に大きく減少する、地域の期待に応える学校づくりに取り組んでいくと発言されました。そして、その後、公表された県立高等学校再編将来構想を基に、特色ある学校づくりに向け、取組を進められています。
今回は、その一つとして、今年度と来年度に設立される中高一貫校のうち、地元中学校との連携型中高一貫教育を導入する美和高校、国際バカロレア──以下、IB──の導入を目指す津島・西尾・時習館中学・高校の取組について伺います。
連携型中高一貫校は、地域社会との協働の中から人材を育成する目的で設立されるケースが多く、人口減少が著しい地域での開校が目立つ一方、美和高校のような大都市近郊に設置する例はあまり見られません。
そこで、地理的環境が似ている東京都立永山高校を訪問し、実態を伺うことにしました。永山高校は、二〇〇二年十月に決定した都立高校改革推進計画・新たな実施計画において、多摩市内唯一の都立高校となる永山高校と、多摩市立の中学校三校による連携型中高一貫校へ生まれ変わりました。とはいうものの、一学年三百二十人のうち、多摩市立の三中学からの連携枠は三十人程度、また、在校生に占める多摩市内中学出身者も二割程度と、多摩市に特化した高校ではありません。
その一方、カリキュラム内容を伺うと、例えば、多摩大学と教育連携協定を締結し、多摩市役所及び多摩市内の企業七社の協力を得ながら、地域課題の抽出と提案を実践したり、ロータリークラブと連携した企業インターンシップ活動を行うなど、地域との連携を生かした特色ある教育を展開しています。
二〇二二年度から始まった学習指導要領では、従前からの大きな変更点として、探求型学習を重点に置いた内容が掲げられており、こうした中で、地域と連携した学習は、とても親和性が高いと感じました。
加えて、連携している三中学校とは、互いの情報公開を積極的に行うことで、中学、高校、それぞれにおける先生の考え方や生徒との接し方の違いなど多くの気づきを得たといったメリットもあるそうで、現在、多摩市立の別の中学校からも連携したい旨の要望を受けていると伺いました。ただ、様々な調整業務など、先生方にとっては負担が大きいことが気になりました。
美和高校でも、連携型中高一貫校の導入に先立ち、本年度から地域探究科を創設し、地域社会が有する課題や魅力に着目した学びに重点的に取り組んでいるものと承知しています。子供たちが高校時代にこうした学びを経験することで、大学での学びをイメージしやすくなるものと思います。
そこで、美和高校の地域探究科のカリキュラムの特色と目指す方向性はどのようなものか、伺います。
また、美和高校では、連携型中高一貫教育の取組として、昨年度から地元六中学校との連携が始まっているとのことですが、その取組内容及び取組に係る先生方の負担軽減について見解を伺います。
次に、IB教育認定に向けた取組について伺います。
本県では、県立千種高校、尾北高校に国際教養科を、刈谷北高校、津島高校に国際探究科を設置しており、これらの学科では、豊かな国際感覚を持ち、広く国際社会で活躍できる人材の育成を目指しています。
私は、二〇二〇年二月定例会の議案質疑にて、県立高等学校教育推進実施計画第二期の下、グローバル人材育成、国際理解教育の新たなモデルづくりとして新設する刈谷北高校の国際探究科と、旭丘高校で実施されているあいちグローバルハイスクールを例に、海外の大学に進学しやすい環境の整備をどのように実現するのか伺い、教育長から、留学や海外進学を志す生徒の資質、能力を育成することにより、海外の大学へ進学しやすい環境の整備に努めていくとの答弁を得ました。
そこから五年、今年度創設した津島高校・附属中学、来年度創設予定の西尾高校・附属中学、時習館高校・附属中学にてIB教育導入を目指すことが公表され、こうした取組を評価するところです。先日も私の子供が通う小学校から、津島高校附属中学校で開催されるイングリッシュデイキャンプ in ツシマの案内を受領しました。
先月末、あいち民主県議団の有志で、愛知県にある国際教養大学──以下、AIU──を訪問しました。AIUは、グローバルリーダーの育成を目的として二〇〇四年に開学、世界に通用するリベラルアーツ教育を展開している公立大学です。全て英語の少人数授業、一年間の留学義務、四人に一人が留学生といった多文化共生のキャンパスライフなど様々な特色を持ち、多文化の知識を掛け合わせて問題解決を図る力、統合知と、自立性、倫理感、忍耐力、貢献の精神といった人間力を養う学習環境を整え、全国の進路指導教諭にアンケートを行っている調査では、グローバル教育に力を入れている大学一位の評価を得ています。
キャンパスでは、学生も生徒も妥協を許さず、リベラルアーツに突き進む姿、覚悟を目の当たりにしました。副学長である熊谷教授は、恐らく日本で卒業するのが一番大変な大学ですと話されていましたが、まさに世界基準の大学です。
本県は、このAIU、そして国際バカロレア教員養成プログラムを持つ国際基督教大学と連携協定を締結していると伺っており、IB教育認定に向け、準備をしっかり進められていると思います。
そこで、IB教育認定を目指し、準備を進める中での現状と課題を伺います。
また、IB教育認定校の導入の狙いについて、国際教養科、国際探究科との違いも含めて伺います。
四点目に、投票困難者への投票支援について伺います。
七月二十日に執行された第二十七回参議院議員通常選挙の投票率は五八・五一%で、前回、二〇二二年参院選よりも六・四六ポイント上昇しました。参議院選挙の投票率が五八%を超えるのは、二〇〇七年以来、十八年ぶりです。
また、若年層の投票率が過去と比較して大幅に上昇したことも大きな話題となりました。私は、若い人や現役世代の方たちとの意見交換会の場で必ず、皆さんの投票率が上がれば、もっと若い人、現役世代に寄り添った取組が展開されるはず、だからこそ、自分たちの未来を変えるため、投票に行きましょうと話をしておりますので、今後もこうした流れが続くよう、また、様々な場面で発信していきたいと思います。
さて、選挙権は、満十八歳以上の日本国民が得る憲法で保障された権利の一つです。この大変重要な選挙権を行使できない状況を減らすため、病院に入院している、老人ホームに入所しているなどの事情で、投票所で投票することができない方でも投票できるよう、不在者投票制度が設けられています。
この不在者投票制度に関して、八月二十八日の毎日新聞に、余命数か月、十八歳の息子、かなわなかった一票と大きな見出しで記事が掲載されました。以下、概要を紹介します。
記事は、余命数か月の宣告を受けている息子を持つ母親が、病院から配付された不在者投票の案内を基に、息子の投票意思を確認、不在者投票の申請をしたことから始まります。死を意識して過ごす日々だからこそ、できるだけ多くの生きたあかしを残してあげたい、そう願うお母さんにとって、息子さんの投票してみるという言葉がとてもうれしかったそうです。
七月中旬のある日、病院内で不在者投票が行われました。しかし、この日、息子さんは、三十九度に近い熱に浮かされる中、たまたま母親が病室にいないタイミングに看護師長が投票の意思を確認、息子さんの、もういいですとの回答をもって投票棄権の扱いとなってしまいました。後に事態を把握した母親はショックを隠せず、また、息子さんも、そのときのやり取りについては記憶がなく、棄権を知ったとき、投票してみたかったなとつぶやいたそうです。
病院内での不在者投票は、入院患者への投票の意思確認、投票希望者の住民票がある自治体に投票用紙の請求、院内投票所の設置、投票の立会い、投票用紙の管理、送付など、全ての事務作業を病院側が担わなければなりません。
この病院では、投票日は一日、午前と午後にそれぞれ二時間ずつ投票時間を設け対応する中、担当者は、不在者投票に割ける時間や人員に限りがあるとした上で、選挙管理委員会が人員を派遣するなど、選管主体で対応してほしい、投票者の意思で完結できるオンライン投票などの導入を希望するといったコメントをされています。
その後、息子さんは、八月十四日にお亡くなりになりました。お母さんは、病院関係者の多忙さをよくよく理解されています。でも、たとえ息子が亡くなったとしても、息子の一票を生きたあかしにしたかったと、死が迫っていた息子に投票を経験させてあげたかったという気持ちが強く、とても悔やまれています。
このほかにも、不在者投票施設での投票に関しては様々な課題が指摘されています。
例えば、老人ホームなどの施設に入所されている高齢者の方が投票する場合には、不在者投票管理者である施設長が、入所者本人の投票意思を確認することとされていますが、認知症の方の投票意思の確認は難しい場合も多く、施設長が投票意思が確認できないと判断したときは、不在者投票を行うことができません。
実際、今夏の参議院選挙でも、私の地元、春日井市にお住まいの認知症の方が、本人の意思確認ができないと施設長が判断し、投票ができず、本人や、その御家族が涙をのまれたという事例がありました。こうした話を伺うにつれ、不在者投票制度がどれだけ本人の意に沿って利用されているのかと疑問を抱かざるを得ません。
先日、私は、投票困難な方への投票支援という観点から見た現行制度の課題、これまでの制度変遷や検討結果などについて、総務省自治行政局選挙部の方と意見交換をしました。そこで、不在者投票制度の運用や、投票困難な方への投票支援については、選挙権の行使と公正確保のバランスといった問題があり、いかに難しい問題であるのかということを改めて認識しました。
また、選挙事務は大変多くの人手を要する中、投票困難者への支援に係る人工をどのように確保するのかという点も大きな壁であると感じました。
ただ、この点に関し、選挙事務のDX化が解決の糸口になるのではないかとも考えます。選挙の頻度が少ないことから費用対効果が問われるものの、マイナンバーカードを活用することなどで実施できる取組もあり、それによる選挙事務従事者の負担軽減が、投票困難者の支援につながるものと信じています。
そこで、本県における不在者投票者数について、今夏に執行された参議院通常選挙の実績を伺います。
次に、投票に関する事務は市区町村において行われていると承知していますが、自ら投票所に行くことができないなど、投票が困難な方への投票支援について、県として市町村に対してどのような取組をしているのか、お伺いします。
最後に、選挙事務のDX化の取組について伺います。
本日は、質問の中で紹介した方々も議場で傍聴されています。理事者各位の誠意ある答弁を期待して、質問を閉じます。ありがとうございました。
労働局長
初めに、愛知県中小企業人材確保奨学金返還支援事業補助金の利用状況に係る認識及びさらなる制度利用に向けた取組についてお答えします。
この補助金は、企業が従業員に対して支給した奨学金返還のための手当、または、代理返還した額の一部を補助するものです。
昨年度の制度創設から本年八月末までに、従業員の奨学金返還を支援する企業百四十七社が県に登録されています。そのうち、今年度は八月末現在で五十六社から百七人分の支援計画が提出されており、県の補助額は約六百八十万円となる見込みです。制度を開始した昨年度一年分の補助額約二百四十万円の約二・八倍となっておりますが、今後、より一層の利用拡大が必要であると認識しております。
そのためには、本制度のさらなる周知徹底、また、奨学金の返還支援が学生の就職先選びの動機づけになる等、導入の利点への理解促進が重要と考えます。
そこで、今年度新たに支援導入が採用につながった事例や、ハローワークの求人情報にPR用ロゴマークを掲載する方法等を専用ウェブページで発信するほか、求職者等に支援導入をアピールするPRグッズを作成、配付するなど、啓発活動を強化しているところです。
また、制度利用企業から、手続の簡素化や補助期間の拡大に係る要望をお聞きしておりますので、利用拡大に向けては、企業にとってより使い勝手がよく、高い導入効果が得られるよう、適切な補助期間を含め、制度の在り方についても検討してまいります。
続いて、首都圏等からのUIJターンの促進について、県のこれまでの取組実績と今後の方向性についてお答えします。
あいちUIJターン支援センターでは、首都圏等から本県中小企業に人材を呼び込むため、大学訪問や就職フェアへの出展、県内企業見学ツアーなどを通じたUIJターン希望者の掘り起こしや就職相談等を行っています。また、魅力ある県内中小企業を発掘し、求人情報を専用ポータルサイトで提供するなど、UIJターン希望者とのマッチングを図っているところです。
こうした取組により、開設以来、昨年度までの八年間で、延べ六万四千百四十五件の利用があり、四百九十八人の方が県内企業に就職されています。
今後、UIJターンのさらなる促進に向けて、当センターと、本県への移住支援を担うあいち移住・定住相談センターとの連携強化は、議員お示しのとおり、高い相乗効果が期待できると存じます。
各相談窓口での相互の紹介や、セミナー等での双方のパンフレット配付など連携に努めているところですが、今後、さらに、双方の窓口をオンラインでつなぐなど、移住と就職に関する相談を一度にできる体制を整備したいと考えております。
また、両センターの拠点集約につきましては、必要なスペースの確保の可否など、課題や調整事項を整理し、検討してまいります。
建築局長
カーボンニュートラルの実現に向けた住宅分野の取組についてのお尋ねのうち、初めに、愛知県住生活基本計画二〇三〇における主な施策の取組状況についてお答えします。
カーボンニュートラルの実現に向けては、住宅の省エネ性能の向上が不可欠であり、県民や住宅事業者の皆様にその重要性を理解いただき、主体的に取り組んでいただくことが重要です。
このため、昨年三月作成のあいちエコフレンドリー住宅ガイドブックを活用し、住宅事業者向け講習会の開催に加え、各種イベント等の機会を捉えた広報活動を通じ、普及啓発に努めております。
また、本年四月から新築住宅に対する省エネ基準への適合が義務化されたことにより、新築住宅の省エネ性能は着実に向上していくものと考えておりますが、一方で、既存住宅につきましては、約八割が断熱性能や設備の能力において省エネ基準を満たしておらず、既存住宅の省エネ化が課題であると認識しております。
こうした課題への対応として、本県では昨年度、市町村と連携した省エネ改修等に対する補助制度を創設したところ、四市において本県と合わせて制度が導入されました。さらに、引き続き制度創設の働きかけを行った結果、本年度は十二市へと拡大しております。
今後も普及啓発活動と補助制度の両輪による取組を着実に推進し、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでまいります。
次に、今後の取組についてお答えいたします。
本県では、愛知県住生活基本計画二〇三〇において、カーボンニュートラルの実現に向けた住宅の性能向上などを重点的な取組の一つとして位置づけ、住宅の省エネ化を推進してまいりました。
この計画は、住生活基本法に基づき、県民の住生活の安定の確保及び向上の促進を図るための基本的な計画として、国が定める住生活基本計画の全国計画に即し、本県における住まい、まちづくりに関する基本的な方針や目標、施策などを定めたものであります。
現在、国においては、今年度末の策定を目指し、全国計画の見直し作業を進めており、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅分野の省エネ化の取組についても検討しているところでございます。
本県におきましても、国の動向を踏まえ、今年度から来年度の二か年で現行計画の見直しを進めており、見直しに当たっては、学識経験者で構成される有識者懇談会を設置するとともに、関係団体の皆様にも御参画いただき、カーボンニュートラルの実現に向けた取組について専門的な見地から御助言をいただくこととしております。
今後とも、県民の皆様をはじめ、関係団体、県、市町村など、住まい、まちづくりに関わる多様な主体が連携して取り組むための指針となるよう、現行計画の見直しを着実に進め、効果的な施策や新たな目標について検討してまいります。
教育長
県立高校の魅力化のうち、初めに、美和高校地域探究科のカリキュラムの特色と目指す方向性についてお答えいたします。
地域探究科では、地域を素材とした探求学習に重点的に取り組むため、学校独自に地域探究という教科を設けるとともに、総合的な探求の時間を他校より多く設定していることがカリキュラムの特色となっております。
今年度は、一期生である一年生が、企業や大学等との連携、協働の下、地域の歴史、観光など七つのテーマで探求学習に取り組んでおります。六月には、地域行政をテーマに、子供、高齢者、外国籍の方にとって住みやすいまちづくりについて、グループ単位で課題の解決策を提案する学習に取り組み、その成果をあま市役所で発表いたしました。
また、九月からは、観光をテーマとして、大学教授による出前授業や、大学生と一緒に、観光資源の発掘を目的に史跡を巡るフィールドワークを実施しております。
こうした学びは、生徒の地域への理解を深め、大学でのさらなる学びにもつながるものと考えております。
新たに設置した地域探究科では、地域を素材に、生徒一人一人が自ら問いを立て、情報を整理、分析し、他者と協働して課題を解決していく力を育むことにより、地域を支える人材を育成してまいりたいと考えております。
次に、美和高校での連携型中高一貫教育の取組と教員の負担軽減についてお答えいたします。
美和高校では、昨年度から生徒と教員が、連携しているあま市、大治町の六中学校を訪問し、中学生と一緒に地域の課題などを題材とした探求学習に取り組んでおります。
今年度は、六月に、高校の教員が中学一年生を対象に、地域の福祉をテーマとして、探求学習の進め方や課題設定の方法についての授業を行い、七月には、中学三年生の自己分析をテーマとした授業に、高校二年生が指導役として加わり、情報の整理、分析の方法について共に学びました。
さらに、中学二年生が、地域で実施した職場体験活動を踏まえて、将来の進路について高校一年生と一緒に考える授業を十二月に行う予定となっております。
なお、こうした連携の取組は、中学校と高校の教員が念入りに打合せを行う必要があるなど、通常の学習と比べて準備の段階から負担が大きいことから、教員を増員するとともに、県教育委員会の指導主事も連携プログラムの準備に加わり、教員の負担軽減に努めております。
県教育委員会といたしましては、美和高校と地元中学校の連携が円滑に進むよう、引き続き、各学校をしっかりと支援してまいります。
次に、国際バカロレア認定に向けた現状と課題についてお答えいたします。
国際バカロレアは、探求的な学びを通じて国際的な視野と主体性、批判的思考力などを育み、世界で活躍できる力を身につけることを目的とした国際的な教育プログラムでございます。
津島高校附属中学校では、開校した今年の四月から、こうした国際バカロレアの趣旨を踏まえながら、中学生向けのプログラムであるMYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)に準じた授業を実施しております。
MYPは、中学一年生から三年生までの授業の実施状況を国際バカロレア機構に確認を受けてから認定される仕組みとなっておりますので、学年の進行に合わせて学びを発展させ、一期生が中学三年生となる二〇二七年度の認定を目指してまいります。
また、高校生を対象とするDP(ディプロマ・プログラム)につきましては、附属中学校の一期生が高校に進学するまでに認定を受ける必要がありますので、カリキュラムの作成等の準備を進めているところでございます。
そして、来年四月に開校する西尾、時習館の二校につきましても、同様に準備を進めてまいります。
また、認定に向けましては、国際バカロレア教育の実践を担う高い指導力や語学力を持った教員の確保、育成が重要でございます。
そのため、教員採用選考試験において特別選考を実施するなど、優秀で意欲のある教員の採用に努めるとともに、議員お示しの国際教養大学や国際基督教大学とも連携して、教員の国際バカロレア教育を実践していく力を育成してまいります。
最後に、国際バカロレア導入の狙いについてお答えいたします。
本県では、世界を舞台に活躍できるチェンジメーカーの育成を狙いとして、英語教育やグローバル教育に実績のある津島、西尾、時習館の三校に国際バカロレアを導入することといたしました。
国際バカロレアの大きな特徴は、所定のカリキュラムを履修し、最終試験で必要とされる成績を収めることで、海外の大学への出願資格を得られる点にございます。
一方、国際教養科や国際探究科は、その卒業認定をもって海外の大学の出願資格を得られるものではございませんが、それぞれ、語学や異文化理解に重点を置いた学習や、地域のグローバル企業等と連携した探求的な学びにより、英語を道具として使いこなし、優れた国際感覚や課題解決能力を持った生徒の育成を目指しております。
国際バカロレアの導入を目指す三校と国際教養科や国際探究科の学びには相通ずるものがございますので、各学校が学びの成果を共有しながら、国際的な視野を持った、グローバルに活躍できる人材を育成してまいりたいと考えております。
選挙管理委員長
初めに、不在者投票数の実績についてお答えします。
不在者投票は、選挙期日の当日、有権者が仕事や旅行などで選挙人名簿登録地以外の市町村に滞在している場合や、県選挙管理委員会があらかじめ不在者投票をすることができる施設として指定した病院、老人ホームなどの施設に入院、入所している場合など、一定の事由に該当すると見込まれる場合に、滞在地の最寄りの選挙管理委員会や、入院、入所している指定施設において投票することができる制度です。
本年七月二十日に執行されました参議院議員通常選挙における愛知県選挙区選挙では、選挙人名簿登録地以外の市区町村における不在者投票数、いわゆる滞在地での不在者投票の投票者数は六千九百八十五人、病院、老人ホームなどの指定施設における不在者投票数は一万一千八十九人、留置施設の入所者数など、そのほかの不在者投票数は三百一人、合計一万八千三百七十五人に利用されております。
次に、投票所への移動が困難な方への投票支援についての取組についてお答えします。
高齢者や障害のある方など、投票所への移動が困難な方に対し投票機会を確保することは、大変重要であると考えております。
議員御指摘のとおり、投票に関する事務は、市区町村の選挙管理委員会において行われており、本年七月、参議院議員通常選挙では、県内でも地域の実績に応じた様々な投票支援が行われております。
具体的には、投票所への巡回バスの運行や、タクシーによる送迎のほか、バス、タクシーの乗車賃の無料化など、有権者の投票所への移動支援を行った団体が十市町ございます。
また、投票箱や投票記載台などをバス等の車両に搭載して、病院や公営住宅など、複数の場所を巡回する移動期日前投票所が二市で五か所設置されました。
県選管としましては、こうした取組が推進されるよう、先進事例を市町村選挙管理委員会に周知するなどし、積極的に検討するように呼びかけるとともに、実施を検討している団体に対して必要な助言を行っているところでございます。
最後に、投票選挙事務のDX化の取組についてお答えします。
選挙事務のDX化は、事務の効率化並びに有権者投票環境向上に資することから、市町村の選挙管理委員会において様々な取組が行われているところでございます。
具体的には、有権者が不在者投票の請求を行うにあたり、これまでの郵送等による請求に加えて、マイナポータルのオンライン申請サービスであるぴったりサービスなどを利用したオンライン請求の導入が進められており、本年七月の参議院議員通常選挙では、三十六市町において実施されております。
また、マイナンバーカードを利用することにより、投票所等での受付の際に職員が行う選挙人名簿との対照作業を迅速化するとともに、期日前投票の際には、宣誓書を自動作成し、有権者の負担を軽減するための取組を行っている団体もございます。
また、県選挙管理委員会としましても、各種説明会、会議等のオンライン開催のほか、市町村選挙管理委員会からの報告のシステム化に取り組んでいるところであります。
引き続き、市町村選挙管理委員会と連携し、選挙事務の効率化や投票環境の向上に取り組んでまいります。