令和7年 総務企画委員会(2025.06.27)

【日比たけまさ委員】

 訪問介護サービス提供体制確保支援事業費補助金について伺う。
 今回、この支援の対象を訪問介護事業として事業を実施するとのことだが、なぜそのようになったのか。

【高齢福祉課担当課長】
 2023年度の訪問介護事業所等の訪問介護員の有効求人倍率は約14倍であり、施設系サービスの介護職員の約3倍と比較して高い水準になっている。しかし、訪問介護事業所等は、他のサービス種別に比べ、小規模な法人や少人数で運営されている事業所が多く、人材募集や経営改善を進めたくても、人的、資金面の余裕がなく、自力での取組が難しい状況にある。そのため、国の令和6年度補正予算において、訪問介護事業所等のみを支援の対象とした人材確保や経営改善の取組を支援する補助制度が創設されたことを受け、県としてもこの制度を活用した支援を行うこととした。

【日比たけまさ委員】

 今回、6月補正で増額を行う理由について、先ほど福祉局長から、国が実施主体を原則として都道府県と方針転換した旨の説明があった。すなわち、本県での当初予算は、当初の時点では、政令市、中核市を除いた形で計上して、政令市とか中核市はそれぞれ独自で予算計上していたと理解するが、今回の増額補正でこれらの地域は二重計上とならないのか。また、補助率3分の1が県補助とのことだが、もともとは事業所の指定権者である政令市、中核市が負担するものであったと考える。その点についてはどのように理解すればよいか。

【高齢福祉課担当課長】
 政令市、中核市においては、当初予算の編成時には、国から実施要綱等事業の詳細が示されていなかったため、当初予算への計上を見送り、令和7年度に入ってから補正予算で対応する方針としていたので、二重の計上とはなっていない。また、国の方針転換により、政令市、中核市の部分も県が負担することとなるが、県としては、様々な課題に取り組もうとする訪問介護事業所等を広く支援する必要があると考え、今回、補正予算を提案した。

【日比たけまさ委員】

 この方針転換によって、本事業の対象となる訪問介護事業所等の数はどのように変わったのか。

【高齢福祉課担当課長】
 令和7年度当初予算の時点では、県が指定する訪問介護事業所のみをこの事業の対象としていたので、本年4月1日現在で681事業所が対象だった。今回の国の方針転換により、政令市・中核市指定の訪問介護事業所1,382事業所、市町村指定の定期巡回・随時対応型訪問介護看護54事業所、夜間対応型訪問介護5事業所が加わり、県全体では2,122事業所となる。

【日比たけまさ委員】

 本事業は様々なメニューがある。メニューの活用意向も事業所ごとに異なるのではないかと思うが、この補正予算額についてはどのように積算したのか。また、事業所のニーズを県として把握しているのか伺う。

【高齢福祉課担当課長】
 今回の補正予算額は、県内に所在する全ての対象事業所に対し、活用を希望するメニューとメニューごとの所要額についてニーズ調査を行い、必要額を予算計上している。本事業の支援メニューは七つあり、研修体制の構築支援、中山間地域等・離島等地域における採用活動支援、経験年数が短いホームヘルパー等への同行支援、経営改善支援、登録ヘルパー等の常勤化の促進支援、小規模法人等の協働化、大規模化の取組支援、介護人材・利用者確保のための広報活動支援となっている。その中で事業所のニーズが高いメニューとしては、介護人材・利用者確保のための広報活動支援、研修体制の構築支援、経験年数が短いホームヘルパー等への同行支援となっている。

【日比たけまさ委員】

 最後に要望する。
 昨日の中日新聞でも大きく取り上げられていたが、現在、訪問介護事業を取り巻く経営環境は非常に厳しい状況である。東京商工リサーチの調査によると、2024年度の介護事業者の倒産は179件と過去最多を記録、中でも介護報酬のマイナス改定やヘルパー不足などが影響した訪問介護は86件と全体の約半数を占め、こちらも過去最多を記録した。また、日本介護クラフトユニオンが本年4月に訪問介護事業所に行ったアンケートによると、2023年と比べ減収したと回答した事業所は55.2パーセント、そのうち一番の減収理由に、人手不足により依頼があっても受けることができなかったためと回答した事業所は73.3パーセントに上っている。
 今回、訪問介護事業に焦点が当たり、人材確保や経営改善に向けた支援が予算計上されることは喜ばしいことと思っている。一方で、課題もまだあると思う。
 例えば、先ほどの答弁の中でも、訪問介護事業所の人材確保が特に厳しいという点に触れてもらった。こうした背景もあって、従来、訪問介護事業で外国人を雇用するには、在留資格「介護」、経済連携協定(EPA)に基づくEPA介護福祉士、永住者、定住者、日本人の配偶者等の在留資格のいずれかしか認められていなかったが、本年4月から技能実習生及び特定技能外国人が訪問介護サービスに従事できるようになった。とはいえ、事業所に過大な管理義務を負わせるなど、実際に雇用ができる要件としてはかなりハードルが高いという声を聞いている。
 また、地域包括ケアシステムの中核的なサービスとして平成24年に制度化された定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の数、先ほども答弁してもらったが、これはまだまだ非常に少なくて、普及が進んでいない。他の介護保険サービスと比べても圧倒的に少ないのが現状である。ぜひこうした現場の声というのを引き続き拾ってもらうよう要望して、質問を終わる。

【日比たけまさ委員】

 社会的養護自立支援拠点事業について伺う。
 2024年4月に施行された改正児童福祉法により、児童養護施設等への入所措置が解除された人や、虐待経験がありながらも、これまで公的支援につながらなかった人などの自立のために、必要な援助を行うことが都道府県の業務として位置づけられ、相互交流や情報提供、相談対応や関係機関との連携調整などを行うことで、将来の自立に結びつけることを目的とした社会的養護自立支援拠点事業が創設された。
 そこで、この事業における本県での実施状況を伺う。

【児童家庭課担当課長】
 本県では、ケアリーバーの自立支援のため、児童福祉法改正前の2018年度から尾張福祉相談センターに支援コーディネーター等の専任の相談員を配置して相談支援に当たっている。その後、2023年度には改正法の施行を見据え、西三河福祉相談センターにも相談員を配置し、尾張、三河の2拠点体制とした。各拠点では、対象者が施設等を退所する前から、施設の職員と連携しながら、1人で生活していくための基本的なノウハウを伝えるとともに、退所後には、定期的な面談や電話等により生活状況を確認し、必要なサポートを行っている。また、民間のフードバンクの協力の下、希望する人には定期的に直接自宅へ食料を届けつつ、状況の把握を行うなど、ケアリーバーの人々が安定した生活を送ることができるよう、対象者一人一人の状況に合わせて策定した支援計画に基づき、継続した支援を行っている。
 さらに、2024年4月からは、二つの拠点に新たに就労相談支援員を配置して、入所中からハローワークへ同行するなど就労に向けた支援を行うとともに、就職後においてもアフターフォローを行うなど、対象者それぞれの不安や悩みに合わせたきめ細かな支援を行っている。

【日比たけまさ委員】

 現在、拠点の利用者はどれくらいいるか、また、支援を必要とする人に情報が届くことがまず重要であると考えるが、現状ではどのような形で周知を行っているのか伺う。

【児童家庭課担当課長】
 自宅への訪問や拠点での面接、電話、メールによる相談対応など、継続的に支援を行っている人数は、おおむね40人から50人程度となっている。本事業による支援の周知については、対象者が施設等で生活している時点、退所の数か月前から拠点の相談員が適宜訪問し、児童相談センターや施設職員、里親等と連携しながら、対象者が安心できるよう配慮した上で、一人一人と面談を行い、支援内容を丁寧に説明するなど、自立支援が必要な人に本事業を有効に活用してもらうよう努めている。

【日比たけまさ委員】

 自立支援に向けては、金銭面での不安を取り除くことも大切であると思う。経済的な支援についてはどのように行っているのか伺う。

【児童家庭課担当課長】
 本県では、施設等を退所して就職や進学をする人々が安定した生活基盤を築くことができるよう、愛知県社会福祉協議会を通じて、生活費や家賃、資格取得費用を貸し付けるなど、金銭面での不安の軽減に努めている。この貸付金は一定期間就労を継続した場合には、返済を免除しており、施設退所前後の不安が強い時期にも安心して利用することができるものと考えている。
 また、本県では、県民からの寄附の受皿として創設した子どもが輝く未来基金を活用した各種の自立支援事業を実施している。具体的には、大学等へ進学する際の入学準備金の支給のほか、今年度からは新たに就職等に直接役立つ資格である運転免許の取得費用の一部を支給するとともに、退所後の継続的な支援につなげるため、入所していた施設の職員が対面で面談を実施し、自立に向けた相談支援を行った上で、給付金を支給する取組を開始した。これらの取組を通じて、ケアリーバーが自立して安定した生活を送ることができるよう支援している。

【日比たけまさ委員】

 他の都道府県では、社会的養護経験者等の支援に取り組む公益法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人などに業務委託をしている事例がほとんどを占めている。一方、本県においては、先ほどもらった答弁で、直営で実施しているとのことだが、このような運営形態にしている理由を伺う。

【児童家庭課担当課長】
 県が主体となって直接事業を実施する主な利点としては、本県では、児童相談センターの中に拠点を設置しているため、施設入所中から児相の担当者と密に情報共有をするとともに、民間の児童養護施設などに配置された退所児童のアフターフォローを行う自立支援担当職員とも連携を図り、退所後にも切れ目のない支援を行いやすい環境が整えられている。
 また、施設を退所して1人で生活していく上では、転入届や保険、年金をはじめ、市町村での手続が必要になる場合も多く、こうした場合における制度の案内や同行による手続の補助などを適時に滞りなく行うことができるという点も挙げられる。
 加えて、自立支援に当たっては、福祉事務所をはじめとする他の公的な支援機関による支援が必要となる場合もあり、こうした支援を本人が望む場合には、公的機関同士でスムーズな連携を図りやすいということも利点の一つであると考えている。

【日比たけまさ委員】

 この事業では、虐待経験がありながらも、これまで公的支援につながらなかった人も支援対象とされている。本県においても、こうした人々を支援している団体が存在している。とても熱い思いを持って対象者に寄り添っていると感じているが、こうした団体との連携についてどのように考えているか伺う。

【児童家庭課担当課長】
 これまで児童相談センターなどの公的支援につながらなかった人への支援については、市町村や民間を含めた相談機関から支援が必要な状態に置かれているといった情報が得られた場合などには、本人の意向も十分に尊重しながら、拠点において丁寧な相談対応を行うよう取り組んでいく。
 一方で、ほかの地域では、この事業の実施において民間の持つノウハウを活用する例も多いと承知しているので、様々な事情を抱えた相談者にきめ細かに対応するに当たって、民間ならではの強みがどこにあるのかなどについても今後把握に努めていく。

【日比たけまさ委員】

 繰り返しになるが、社会的養護自立支援拠点事業の対象者は、社会的養護の措置が解除された人、いわゆるケアリーバーや虐待経験がありながらもこれまで公的支援につながらなかった人などである。答弁では、ケアリーバーに対する支援についての話が中心であったと思う。関東や九州などで社会的養護自立支援事業を受託しているNPO法人ブリッジフォースマイルのホームページでは、ケアリーバーは毎年全国で数千人に上ると言われているが、その一方、児童相談所が対応できる虐待相談件数のうち、一時保護されているのは1割強、児童養護施設などへの入所に至るのは2パーセント程度であることから、問題を抱えながら保護されることなく大人になった若者は20代に限っても数万人以上、もしかすると数十万人に上る可能性があると記載されている。
 今年度の社会的養護自立支援拠点事業の予算は2,800万円余り、恐らく支援員の人件費など2か所の相談センター運営費に充てられていると思うが、親を頼れない若者たちに向けての発信力であったり、気軽に相談できる雰囲気であったり、困っている若者にこうした支援が届いているのか、心もとないなと思っている。
 答弁の中で、本県の取組が、児童福祉法改正前の予算措置事業であったケアリーバー支援をベースに現在の形に拡充したということは理解した。昨年から始まったばかりの事業なので、今の時点で評価するのは難しいとは思うが、ぜひ、親を頼れない若者の実態や他県の状況も含め、より手厚い支援に向け調査を重ねてもらうことを要望する。