放置駐車違反に係る制度について伺う。
愛知県内の交通事故死者数は昨日時点で137人、対前年プラス7人、大阪府に次いで全国2位と大変厳しい状況である。
交通安全に関する議論をする際、私たちは、飲酒運転やスピード違反をはじめとした危ない運転が議論の中心となり、違法駐車については、あまり取り上げられていないと感じる。
しかし、違法駐車の蔓延は、駐車車両の陰からの歩行者の飛び出しや駐車車両に伴う進路変更による交通事故の発生原因となり、また、緊急車両の通行妨害にもなっている。もちろん、渋滞の原因となることは、社会経済活動上の大きな損失につながっている。
愛知県は自動車保有台数全国1位、道路延長距離全国3位なので、感覚的に放置駐車違反件数が多いのではないかと思い、インターネットで検索してみたところ、株式会社ダイヤモンド社の記事として、免許保有者1,000人当たりの駐停車禁止違反検挙件数が調べられており、愛知県は全国ワースト3位と示されていた。これは件数そのものではなく、人数当たりのランキングである。つまり、県民意識に関わる問題でもあると感じたので、何点か伺う。
初めに、緑のおじさんなどと呼ばれている駐車監視員の運用状況について、人員数、主な配置警察署、委託費、駐車監視員に必要な資格の有無などについて伺う。また、委託による効果も併せて伺う。
【放置駐車対策センター所長】
名古屋市内16警察署及び尾張部、三河部の7警察署の合計23警察署において、総数124人を配置しており、令和5年度における委託費予算は8億823万4,000円である。
駐車監視員の資格については、公安委員会が実施する駐車監視員資格者講習を受講し、筆記による修了考査に合格した者に対して駐車監視員資格者証が交付される。
委託による効果については、駐車監視員の巡回による放置駐車違反抑止効果により、駐車秩序の改善が確実に図られていると認識している。
続いて、県内における放置駐車違反の取締り件数はどの程度あるのか、令和元年以降の推移を伺う。また、取締り件数における警察官と駐車監視員の割合についても、昨年の数字でよいので伺う。
【放置駐車対策センター所長】
警察官または駐車監視員が違法駐車と認められる車両を発見したときは、違反状況確認の上、放置車両確認標章の取付けを行う。その取付け件数については、令和元年は11万1,696件、令和2年は9万308件、令和3年は8万2,883件、令和4年は7万5,744件となっている。
また、令和4年における標章を取付けた警察官と駐車監視員の割合については、警察官が約17パーセント、駐車監視員が約83パーセントとなっている。
年々減少していることはよいが、やはり件数はかなり多い。
放置駐車違反は、違反者が現場にいないことがほかの交通違反と明らかに違うところであり、責任の追及が大変難しいのではないか。放置駐車違反に対する責任の追及の流れについて伺う。
【放置駐車対策センター所長】
当該違反車両の運転手が警察署に出頭しないなど運転者責任が果たされない場合について、自動車検査証に記載されている車両の使用者に対して責任追及を行う。
車両の使用者に対して、まず弁明の機会が与えられ、その後放置違反金の納付命令を行うが、納付されない場合、督促により納付を促す。督促を行ってもなお納付されない場合は催促状、さらには最終通告ともいえる差押予告通知書を送付し、滞納者に対して財産の差押えを予告することにより、自主的な納付を促す。それでも納付しない者については、滞納処分、いわゆる財産の差押えを実施することとなる。
放置違反金は額としてはそれほど多額ではないと思うが、それでも最終的に差押えまで対応するとのことで大変厳しいと思った。差押えは、どれぐらいの数があるのか。また、差押えは具体的にどのような方法で行っているのか。
【放置駐車対策センター所長】
令和4年度の差押件数は1,557件で、令和3年度に比べて375件の増加となっている。
差押えの方法としては、財産調査による預貯金の差押え、給与や生命保険、自動車の差押え等がある。場合によっては、滞納者宅において捜索や差押えを行うこともある。
財産調査や差押えに当たっては、経験豊富な元国税職員などを一般職非常勤職員として採用し、そのノウハウをいかして財産の差押えの強化を図っているが、財産調査では預貯金口座が見つからないなど苦労することが多々ある。一口に差押えといっても、非常に困難が伴うため、粘り強い財産調査を行い、放置違反金の滞納がたとえ1件であっても差押えを行うなど、逃げ得は許さない強い姿勢で責任追及に努めている。
最後に要望する。
調べたところ、パーク24株式会社が今年2月に行った路上駐車に関する意識調査結果によると、路上駐車が原因で危険を感じた経験があるかとの問いに対して、92パーセントがあると回答している。一方で、2年以内に路上駐車をした経験があると回答した人は26パーセントで、10年前の数値と比較すると減少しているが、一定程度は行われており、この意識のさらなる向上が必要である。
交通違反、特に放置駐車違反の責任追及において、県警察が許さないという相当な思いを持って業務に臨んでいる厳しい姿勢が分かった。ぜひ、そういった姿勢をこれからも続けてほしい。また、違反件数は減っているが差押件数が増えているとの答弁もあったので、かなり精力的に臨んでいることは大いに理解できた。ぜひ、そういった取組を続けてほしいと思うし、逆に私たちもこうした県警察の追及していく姿勢をしっかり広めていきたい。